#ヒカキャス #ヒカキャス「花嫁探し」漫画で描こうとしてるなれそめの話。小説で書いてみます。第一話。続きを読むアグネアから舞台の知らせと手紙が届いたのは、ヒカリが仲間達と別れて数ヶ月が経った頃だった。ベンケイから受け取った手紙はこれ以外にも二つあり、一つはキャスティから、もう一つはパルテティオからの鉄道の進捗の知らせだった。「……相変わらずだな」三人とも、文章から各々の様子が伺え、ヒカリは笑みを浮かべた。息災で何よりだと頷き、ベンケイへ手紙を返す。文箱へ片付けるよう頼んだわけだが、彼はやや神妙な面持ちでヒカリを見つめていた。「どうかしたか」「は。……いえ、陛下はこの先どうされるおつもりでいるのかと」「? アグネアの舞台だ。そなた達も観に行くだろう?」「それはもちろんではありますが!」鎮魂祭の一件もあり、ヒカリの臣下達はアグネアの踊りにすっかり魅入られていた。特にベンケイはミッカの着物を繕ってくれたブリスターニ家に恩義を感じており、その感謝の力強さはヒカリも驚くほどだ。「例えば、その……差し出がましい話ではありますが、どなたかを娶られては如何と」「ベンケイ。ク国はまだ復興の途中だぞ」「めでたい話は、民を勇気付けます。ご一考を」ク国のために粉骨砕身で生きてきたが、まさかその延長で妻を娶れと言われるとは。ヒカリはうんざりとして、稽古に出ると言って外へ出た。庭で剣を振る。こうして稽古の時間を取れるようになったのも、民と手を取り合って助け合って来たからだ。(それがまさか、夫婦の話にまで飛ぶとは……)急な変化は民を混乱させるからと、ヒカリはク国が落ち着くまでは王の座に居るつもりだ。だが、ゆくゆくは町ごとに自立できるよう、整備しなくてはならないとも考えている。ヒカリがこの世を去ってもク国が穏やかでいられるように──自分と友の行く末が明るいものであることを願うからこそ、そのように考えているわけだが、臣下達にもそれぞれ思いがあるようだ。ヒカリは今年二十歳になる。父ジゴはどうであったかと振り返り、首を横に振った。正室と側室と。女性を複数人娶るような真似はしたくない。それよりは親を失った子供達を城で育て、その中で後継者を選んだほうが──と考えたところでソローネのことが思い浮かび、これもまた、単純な話ではないなとため息をついた。どうしたいかを考える。妻を娶らず一人で生きるにせよ、ヒカリが年を取ればどのみち誰かに国を委ねる日が来る。その時に、どうであってほしいか。──一人でも多くの民が、ク国を思い、共に助け合える道を選べれば良いと思う。『一人でも多くを、救うために』この時過ったのは仲間の一人、救いの手とまで呼ばれた薬師の姿だった。(……そうだな。これは、彼女の考えと似ている)同じ思想を持つ者で集まり、一人でも多くを助けて回る。彼女はその中で知識や経験を継承し、多くを救えるようにと今このときも旅をしている。最後の一振りを終え、汗を拭う。アグネアの手紙によれば、仲間全員に声を掛けているようなので、彼女にも──キャスティにも会えるだろう。彼女ならば、どう答えるだろうか。話をしてみたくなり、ヒカリはそこでこの話について考えることをやめた。畳む favorite やった〜! わーい! 嬉しいです! ありがとうございます! 感謝! 2025.3.1(Sat) 21:24:28 小説 edit
#ヒカキャス「花嫁探し」
漫画で描こうとしてるなれそめの話。
小説で書いてみます。
第一話。
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