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ヒカ・キャス・テメに対する煩悩かべうち

No.181

#ヒカキャス
#ヒカキャス「花嫁探し」

三話。途中まで。


ク国の歴史を遡れば、戦の過程で捕虜を得る他に、敗戦国から姫を娶り、属国の人質として城に住まわせた時代もあったという。
父ジゴはどうだったのだろう。少なくともヒカリの母は庶子の出であるから、母は見初められた可能性がある。
では、ムゲンの母はどうだったのか。病弱で早くに亡くし、その後にヒカリの母が娶られたので、父ジゴは二人の女性を愛したとも考えられるし、愛を育む前に喪った可能性もある。
「……分からん」
「どうなさいました?」
ヒカリが書斎で唸っていると通りがかったベンケイが声を掛けてきた。
「そなたに言われて、妻について考えてみているのだが……これがどうにも難しい」
「なんと!」
その驚きように、流石のヒカリも勘付いた。
「そなた……さてはさほど本気ではなかったな?」
「はっはっ、何をおっしゃいます。いずれは必要なこととは考えておりますぞ」
「はあ……」
真面目にキャスティに相談してしまった今、あの話は気にしなくて良いと言うのも気が引ける。なにより、もういいと伝えてしまうと、彼女のことだ、好きな相手ができたのだと勘違いしかねない。
(それは……困るな)
口頭で伝えれば、問題ないだろうか。
ヒカリはベンケイに頼み、手紙を鳥に運ばせることにした。
話したいことがあるから来てほしい、と短く記して。


キャスティがク国を訪れたのはそれから二週間後のことだった。
「何かあったの?」
顔を合わせるやキャスティが気づかうように問うので、ク国は至って平穏だと述べたあと、以前、ニューデルスタで話した件だと伝える。
「ああ、そうだわ。いくつか聞いたことがあるの。後で話すわね」
「もう聞けたのか?」
「ええまあ。助けた人が貴族の方で……熱心に求婚してくるから、なにか理由があるのだと思って聞いてみたのよ」
キャスティはさらりと言ったが、ヒカリは耳を疑った。
「まずはヒカリくんから、」
「それは、どんな理由だったのだ?」
「え? ああ……子供のために母となってくれる人を探していたんですって。その家にはね縫製の技術を継承する義務があったみたいで……」
それから彼女はいくつかの事情と考え方を述べ、こんなところかしら、と話を止めた。
「それで、ヒカリくんの話って?」
「う、うむ。あれからベンケイに聞いてみたのだが、急ぐ話ではなく、……ただ乗せられただけだった」
「あら、そうなの」
気まずい思いで伝えるとキャスティは、元気を出して、とヒカリの背中を撫でる。
「……そなたは」
「なあに?」
「そなたは、どういう理由なら婚姻を考える?」
好きな人、などという言葉を選ぶのだから、彼女は恋や愛の経験があるのだろう。その上で夫婦となる道を選ばなかったのかもしれない。だとすれば、逆に何があれば彼女はそれを選ぶのだろうか。
そうねえ、とキャスティは首を傾げて考えていたが、ややあって、苦笑する。
「……恋愛はしたことがないの。私には向いていないのかもしれないわ。だから、相手の人を信頼できて、私のやりたいことをもっと叶えられる……とかじゃないと結婚はしないかもしれないわね」
「なるほどな」
そこで信頼を口にするあたりが彼女らしいなとヒカリは思った。同時に、彼女の考え方に共感した。
ヒカリも恋や愛だの考えるより、ク国のために共に立ち向かっていくことができるか──ク国への姿勢を基準としたほうがしっくりくる。
「立ち話もなんだ。酒場で食事はどうだ?」
「いいわね。ちょうどお腹も空いていたの」
朗らかに笑うキャスティを見ていて、思う。

彼女のように落ち着いたひとであれば、自分も妻にと考えるのだろう。

(──今、何を)
足を止めたヒカリを不思議に思い、キャスティが振り返る。
「ヒカリくん?」
「いや、……気の所為だ」
「そう。でも、少しでも気になるところがあるなら、言ってね」
「ああ……」

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書いてて楽しいよ〜😂
早く漫画でも描きたいよ〜
漫画版と全然プロット違ってきてて我ながら笑ってます。

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