#ヒカキャス #ヒカキャス「花嫁探し」 粗も多いけど!おしまいです!最終回!!お付き合いくださった方いたらありがとうございますと言わせてください。ありがとうございます。最終回を読むトルーソーを止めるために、仲間達に生かされた。治療法を、調合の仕方を知っているからとマレーヤに助けられ──その先で記憶を失って。エイル薬師団の不名誉な噂を払拭するためにも、キャスティは世界中を旅して人々を助けなくてはならない。仲間を募り、人手を増やしていけば、キャスティがそこにいなくても人を助けることができる。エイル薬師団を始めたのは、マレーヤと出会ったからだった。彼女と出会ったときは今よりも若い頃の話であったから、誰かとどうなっていく、なんて話は考えたこともなかった。考える余裕がなかった。記憶を失ったことで変わったことがあるとするなら、そこだろう。今のキャスティは、誰かと結ばれることが自分の行動を制限するとは思わない。(……私はいいのよ、私は。でも、彼は……)ヒカリは、どうだろうか。民を思い、ク国のために剣を振るってきた彼は、これからようやく自分のために時間を使えるようになる。王としての責務もある中で、彼は──一人の人間として、どのように日々を楽しんでいくのだろう。その意味で、きっと、家族の存在は重要になる。そう考えたとき従者ツキの親族ヨミや、友人の妹ミッカをはじめ、彼と同じ背景を持つ女性達の方が、彼を助けられるのではないかと考えてしまう。砂漠の暑さのためか、考え過ぎのためか、目眩を覚えて立ち止まった。水を補給し、日陰で休んだあと、ク国へ続く砂道を往く。正門の橋の前で、キャスティは立ち止まった。覚悟を決めなくてはならなかった。同じだけ、どんな顔で会えばいいのだろうかと、迷いもあった。顔を合わせて、なんと言えばいいのだろう。提案を受け入れたい?未来に嫌な思いをするかもしれないから断りたい?言えば、ヒカリはきっと配慮してくれるだろう。そうしてほしくはないのに。不健全な形ではなく、互いに手を取り合う形で道を歩めないか──と言えたらいいのだが、キャスティ一人にできることなど高が知れていた。「……先延ばしにしても、意味はないものね」結局、今のこの形を維持する方が、自分達には合っているのだ。時折遊びに来て、彼が健やかでいる姿を見られたなら、それでいい。足が竦むような心地で、橋を渡る。不安の本当の理由に気付かないまま、キャスティは朱玄城を目指して城下町を進んだ。キャスティが城を訪ねてきたと聞いて、ヒカリは急いで城へ戻った。この日はク国の東側の復興のため兵士共々出かけていて、キャスティの登城の知らせも夕方時になって届いたのだ。「いま、帰った」「陛下」「変わりはないか? キャスティの話は聞いたが……」「はっ。それ以外は至って平穏でした」「なによりだ。それで──彼女は?」ベンケイに訊ねる。彼は答えるより先に、あ、とヒカリの背後を見た。「おかえりなさい、ヒカリくん」「キャスティ」「聞いたわ。今日は遠出をしていたのよね? 疲れたでしょう」薬師姿の彼女は城の周辺を散歩していたのだと言った。ひとまず中で休みましょう、という言葉に従い、食事の部屋へ移る。「あなたに話したいことがあって来たの。でも、夜も遅いから、明日にした方が良さそうね」皿がある程度空になったところで、キャスティはク国を訪れた理由を明かした。「まだ大丈夫だ。眠気もない」「急ぐ話ではないから安心して。ね」「……」笑顔で、有無を言わさぬ圧を感じた。が、ヒカリは彼女ともう少し話がしたかった。「なら、……寝酒に付き合ってくれ」「あら。寝る前に飲むような人じゃなかったと思うけど」「今日だけだ。そなたが来てくれたのに、話もせずに眠るなど、今の俺には難しい」ヒカリが急ぎ戻ってきた理由など、単純なものだ。会いたかったからだ。彼女と何気ない日常の話をしたかったからだ。これがどのような感情のものか、ベンケイに指摘されずともヒカリも理解している。手紙をしたためたのだって、居ても立ってもいられなかったからだ。「……仕方ないわねえ」キャスティが年下のお願いに弱いことは知っている。ヒカリが食い下がれば、本当に駄目な時を除いて、頷いてくれることも。困ったように苦笑する彼女から目を逸らし、ヒカリは、庭へ出よう、と立ち上がった。新月の夜だ。篝火があるので暗くはなく、星の光がチカチカと空を飾り付けている。「じゃあ……乾杯」酒を前に、キャスティは笑顔だった。今日も一仕事してきたのだろう。移動もあっただろうに、強い人だと思う。「手紙を送ったのだが、届いたか?」「ええ、この通り。……酒場に届けるなんて、考えたわね」「そなたなら、必ず出向くだろうとな」先日はここから他愛ない会話が続いたが、この夜はぽつり、ぽつりと石でも詰むような緩やかな会話となった。一つ語っては沈黙し、酒を飲む。少量しかなかったため盃はすぐに空き、キャスティは空になったそれを盆に乗せると、膝の上で両手を組み、何度目かの躊躇いの後、ヒカリを見た。「そろそろ、寝ましょうよ。身体も冷えるわ」「話があるのだろう。聞かせてくれ」「だめよ。こんな話は、夜更かしをしてまですることじゃないもの……」語尾のすぼまりに合わせて視線を落とすので、どきりとする。憂うその瞳に、彼女は何を視ているのだろう。「キャスティ」「……なに?」しかし、名前を呼べばあっさりと顔を上げる。それがどうしようもなく、嬉しかった。「やっと俺を見たな」「──どういう意味……?」「いや。そなたの言うことも最もだ。明日、聞かせてくれ」先に立ち上がり、手を差し出す。キャスティはじっとその手を見つめていたが、ややあって、首を横に振った。「……やっぱり話すわね。あなたに謝らないといけないことがあるの」「謝る?」「ええ。──あなたの提案はとても魅力的だったし、あなたなら素敵な旦那様になるだろうと思うのだけど、私がそれに見合わないと思って、断ったの」何の話か言われずとも、彼女の言わんとするところは察した。ヒカリの妻にならないかという話だ。「それに、……もし、もしもの話よ? もし私達が結婚したとしても、ヒカリくんはこの先もっと多くの人と出会うでしょう。その時になって本当に好きな人ができたら、私の存在は余計なものになっちゃうと思ったの」旅中では穏やかで、何があっても大抵は冷静に受け流してきた彼女が、このときはやけに慌てたように言い募る。そうして言ったことを後悔したかのように視線を外すと、片腕を掴むようにして身を小さくする。「あなたに、どう見られているのか分からないけど、私だって……嫉妬くらいするものよ。だから、そう、この話はなかったことにした方がいいと思うの」どうしてそのように気まずそうにするのか、ヒカリには分からなかった。ヒカリは一度断られた側ではある。それを彼女が気にして慰めてくれたのが、月を見ながら酒を飲んだときのことで。それから手紙も一度しか送っていないし、帰る場所になったら良いとは言ったが、定住せぬ彼女なら家は複数あってもいいだろうとの思いから書いただけだ。だが、話を総合するに、どうやらヒカリの求婚はしっかり彼女の心に届いており──妙な言い回しが気になるが、彼女自身もヒカリのことをよく思ってくれているようだ。「……キャスティ。そなたの言いたいことは分かった」「本当? 良かった……」両の手を合わせてほっとしたようにキャスティは笑ったが、その手は震えていた。慰めたいと思った。その指先に手を伸ばし、軽く触れる。「え?」「震えていた」多くの人を救ってきたその手は小さかった。手袋を嵌めているから体温こそ分からないが、強張っているようなので休ませたほうが良いだろうと立ち上がらせる。「なかったことにするのは簡単だが、それで、そなたはどうするつもりだ?」「どうって……前みたいに、あなたに会えば、近況報告でもして、」「そなたは嫉妬するほど想ってくれているそうだが」「ち、違うの。好きとかじゃないの」「そうなのか?」「ええっと……」まだ恋愛の知識は浅いヒカリだが、キャスティから嫌われているとは思えなかった。むしろ、好かれている。おそらく彼女は好意を持て余していて、ゆえに、なかったことにしたいと言っているのだろうが、一度彼女を妻にと願ったヒカリからしてみれば、それは無理な話だった。彼女以外を妻に娶る未来など、描けそうになかったからだ。「好きだからって、一緒にいられるわけじゃないでしょう?」「……そなたの思想は理解している。ク国に縛り付けるつもりはない」「そ、そうじゃないわ。よく考えて、ヒカリくん。あなたは王様なのよ、もっと他に、……その、相応しい人がいるでしょう?」「いない。そなた以外には思い浮かばなかった」「う……」キャスティが後ずさるので思わずその背中に腕を回していた。戦闘で負傷した際など、身体に触れることは多々あったわけだが、このときヒカリが感じたのはもっと触れていたい、という欲求だ。加えて、らしくないほど困惑した彼女の顔──篝火が仄かに照らすその表情が、あまりにも可愛らしかった。背中を支え、腕を掴む。キャスティが大げさなほど肩を竦めて、ゆっくりとヒカリを見つめた。視線を注ぎ続けると、だめよ、と呟くように言い、逃げるように目を瞑る。これは、良いのだろうと思った。愛おしむように頬に触れると、弾かれたように目を見開き、何かを言わんと口を開け──抱き着かれていた。「だめって言ったのに」「それは、今もか?」「──それってわざとなの?」曖昧な問答をどう対応したものか迷ったが、キャスティがヒカリの首に腕を回し、後頭部を引き寄せたので流れに身を任せた。翌朝、目を覚ますと隣にはキャスティが寝ていた。離れがたいと言うので部屋へ呼び、口吸いだけして寝たのだ。外は明るく、日は既に昇っているようだ。そろそろ起きて朝の稽古に出かけるところだが、気付けばそのまま肩肘をついて彼女の寝姿に見入ってしまっていた。キャスティが寝返りを打ち、ヒカリの胸元に頭を寄せる。擦り寄るようなその仕草が愛おしく、彼女の細い金髪に指を通して光に透かす。身動ぎ、その目が開く。「……ヒカリくん?」「おはよう。目が覚めたか」「ええ、お陰様で……なんだか嬉しそうね。よく眠れた? 私は緊張してあまり寝付けなかったわ」「そうか。それは悪いことをした」欠伸を片手で隠しながら、キャスティはあっさりと身を起こす。ク国の夜着に身を包んだ、白い背中を見つめてヒカリも起き上がった。「支度をするか」「そうね。でも、その前に」「なんだ?」「あら、あなたの国じゃ、しないのかしら」笑いながらキャスティは両手でヒカリの顔を包み込む。何度もしていれば流石に覚えるというもの、慣れたように目を瞑れば柔らかな感触が唇に触れた。「おはようのキスよ。今日も良い一日にしましょうね、ヒカリくん」「……そうだな」夜明けを望んだ夜のことを思い出す。──彼女は朝を連れてくる人だった、と。「良い一日になる。そなたのお陰でな」話し合うべきことは多くあり、この先に様々困難もある。けれど、それでも、彼女となら夜明けを臨むことができるだろうと、温もりを抱きしめながらヒカリはようやく実感した。なるほど、妻というのは、確かに王には必要な存在かもしれない。畳むあとがき的なラストのセリフに「旦那様」て入れるか超迷ったし本当ならキスさせずに終わるつもりだったんですがなんかキスしてた!!はい!見返すのも恥ずかしい!きっとミスしまくってる!!でも楽しかったし馴れ初め一つかけたから良し!もっと二人の心情を詰めるべきってわかってるんですが許してください。ヒカキャス仲良くしてくれ〜!!畳む favorite やった〜! わーい! 嬉しいです! ありがとうございます! 感謝! 2025.3.8(Sat) 22:46:12 小説 edit
#ヒカキャス「花嫁探し」
粗も多いけど!おしまいです!最終回!!
お付き合いくださった方いたらありがとうございますと言わせてください。ありがとうございます。
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ラストのセリフに「旦那様」て入れるか超迷ったし本当ならキスさせずに終わるつもりだったんですがなんかキスしてた!!はい!
見返すのも恥ずかしい!きっとミスしまくってる!!
でも楽しかったし馴れ初め一つかけたから良し!もっと二人の心情を詰めるべきってわかってるんですが許してください。ヒカキャス仲良くしてくれ〜!!
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