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ヒカ・キャス・テメに対する煩悩かべうち

No.253

#テメキャス
#テメキャス短い話

原作で泣かないキャスの見えない涙を拭ってほしいのかもしれない(ポジティブ解釈)
※いいテメキャス作品を読んで打ちのめされて弱音書いてましたが寝て起きて落ち着いたので書き直しました。


キャスは自分たちが恋人だと思ってて、テメはまだ確定情報もらってないし言ってませんが……?という状態の話です。そうですこの前話していた件の、逆パターンですね。

この話ではキャスが、テメノスって奥手なのかしら?と手を繋ぐとかデートとかに連れ出してあれこれ積極的にリードするんですが、テメはこれは……あれか?お試し期間的なやつか?と様子見してばかりで、
酒場でナンパされたときに「そういう決まった相手はいません」とか言うし、仲間達にも外堀埋めないでください失礼ですよ、と返してる感じです。

キャスが自分の勘違いに気づいて、ヒカくんをうまいこと頼って落ち着くまで一人になろう、と逃げ出そうとするので、そこにテメがなんとか間に合ったところ。

「事実確認からしましょう」
キャス的には決定的に振られる前フリだと思い
「今は受け止められないから明日にして。お願い」
「落ち着くまで待つので、話をしましょう」
──その後の問答がこの漫画です。説明が長い。

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優しくしないで、は漫画を描いてて出てきたセリフなわけですが、とてもいいなと思いました。優しいのねテメノスって原作で言ってるからこそ、余計にこのセリフが響きます。良い……。

このあと、最初のプロットならキャスから結構夜のお誘いをかけててテメが断ってきた背景があるのでちょっと怪しい雰囲気になってましたが、
今は(いい作品を読んで)浄化されたので落ち着かせるためのハグくらいをして話し合って終わりかな?と考えています。
でもキスくらいはしてほし、いやなんでもないです……。
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続きの小説メモ。



「これ以上、優しくしないで」
震える唇でキャスティが唱える。まさか泣かせるとは思いも寄らず、流石のテメノスも動揺した。
「なぜ──ああいえ、その前に聞いてもらえませんか。キャスティ」
問い返す度に彼女を深く傷付けてしまっているようなので、テメノスは素早く話を変えた。彼女を誤解させたことは後で謝るとして、テメノスも彼女と同じ思いであることは先に伝えるべきだと思ったのだ。
「私もあなたのことが好きなんですよ」
余程恐ろしいことを聞かされると思ったのか、キャスティはびく、と肩を震わせた。
それから戸惑いの色を浮かべ、テメノスを見上げる。
最早涙を拭う気力もないのか、掴む手からは力が抜けていた。
「どうして、そんなことを言うの?」
「どうしてと言われましても……あなたのことが好きなので、としか。私がこれまで否定してきたのは、あなたにきちんと交際を申し込んだつもりがなかったためです。……キャスティ?」
「ち、力が抜けちゃって……」
へたり込んだキャスティに肩を貸し、ベッドへ座らせる。肩を抱き、寄りかからせるようにして彼女を支え、テメノスは努めて穏やかな声で訊ねた。
「……落ち着いて話を聞く気になりました?」
「ええ……まだ、混乱しているけれど」
涙など顔を濡らすものをハンカチで拭い、キャスティが離れようとするので肩から腰へ手の位置を変え、引き止めた。
「……キャスティ。話をしてくれませんか。初めて付き合うことになったその日のことを」
「……私が勘違いした経緯を聞きたいのね」
「いいえ? どうやら私が気付かぬうちに記念日が決まってしまったようなので、確認したいだけです」
記念日、と唱えるとキャスティは小さく笑った。
「あなたでもそんなことを考えるのね」
「意外でした?」
「そうね。少し」

それからぽつりぽつりとキャスティは話し出した。
あれはアグネアがドルシネアとの対決に勝ち、スターとしての道を歩み始めた夜のこと。皆で祝杯を上げる中、アグネアに魅了されたファンが数人割り込み、アグネアがその熱量に驚く出来事があった。
恋というものに縁のなかったヒカリをはじめ、仲間達の会話に花を咲かせたあと、キャスティは残る酒で終わりにするようテメノスにたしなめられ、名残惜しくちびちびと飲んでいた。
「さっきの方、とても情熱的だったわね」
「そうですね。あのように気持ちを解放させる……踊子の舞とはそういった気持ちまでもを鼓舞してしまうのでしょうね」
「あなたはどうなの? なにか心躍ることはあった?」
ふふと笑いかけると、テメノスはほんの少し考える間をおき、キャスティを様子見るように視線を寄越す。
「あなたの酔いっぷりに毎度どきどきさせられていますかね」
「それってどういう緊張なのかしら。私は──あなたと話していると胸が温かくなるわ」
「……随分と酔っているようだ」
酒の力があったことは否めない。キャスティは、本当よ、と続けて、テメノスの反応を伺った。
「酔っていなくても、そうよ」
「ありがとうございます。私も同じ気持ちですよ」
「えっ……本当に?」
「? ええ……」
こんなにあっさりと想いが通うなんて思いもしなかった。
互いに成すべきことがあり、特にテメノスは聖職者という立場柄、女性を寄せ付けない雰囲気も合ったので、キャスティもつい、浮かれてしまったのだ。
そして翌朝、同じベッドに寝ていたことから、勘違いが始まった──らしい。

話を一通り聞き終えたテメノスは、ひとまず、なるほど、と頷いた。
それだけで勘違いをしてしまう、キャスティの初心な一面をこのような形で大切にできなかったことを悔やみつつ、自分の曖昧な返事がここまで相手を振り回した事実を深く反省したのだ。
「それでは、昨日が三ヶ月目だったのですね」
「……もういいわよ。気にしないで」
「そういう訳にはいきません」
キャスティの頭に寄せるようにして身体を傾ける。手首を掴んだときも思ったが、彼女はその強さに反して華奢な作りをしていた。
「これまでの時間もそのつもりだったと知っておけば、また違ったでしょう。これに懲りず、付き合いを続けていただけますか?」
「……。……本当にいいの? 気を使わなくていいのよ」
「そっくりそのまま、返しますよ。本当に私でよろしいのですか?」
彼女のあからさまな好意すらまともに受け止めず、泣かせてしまったばかりだ。諦めるつもりはないものの、これからも似たようなことを起こす可能性は否めず、つい、尻込みする。
キャスティは俯いたあと、ややあって、顔を上げた。
「私でよければ、お願いしたいわ。……私だって、あなたのことが好きよ?」

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