#コンビ以上カプ未満 #テメキャス短い話 何回告白しても伝わらないやつの派生。通常なら好きって言わないんだよなあ……とおもったので、カプタグをつけて逃げます。雰囲気はコンビ寄りです。「See the star.」を読む好きですから」「あら、嬉しい」いつからかそんなやり取りが定番になった。嬉しい、と返すのは、実際に荷物を持ってくれただとか、手を貸してくれただとか、そんな理由からであって、時と場合によっては「からかわないで」と返す時もある。「また始まったよ」ソローネが笑う。アグネアは毎度新鮮な反応を示し、オーシュットにおいては「テメノスはほんとMomが好きだな」なんて言って流している。「軽く受け流して良いものなのか?」と狼狽えていたヒカリですら、今日も元気そうで何よりだと頷いていた。「テメノスも飽きねえなあ」パルテティオもアグネアと同様初めは照れていたというのに、最近は苦笑いを隠さない。オズバルドに至っては、何回目だ、とコメントをするばかりだ。「それはいいから、しっかり朝ごはんは食べてね。みんな」だからキャスティもこうして受け流すしかないのだ。だって、テメノスが「好きですよ」なんて直接的なことを言うのは、みんなの前だけと決まっているから。最後のキャンプ地を決めてから、キャスティはこのことについて頭を悩ませていた。彼のその発言が冗談であれ、何であれ、受け止められないなら断るべきだし、そうでないにしても、確かめた方がいいと考えていた。旅が終われば、きっともう、こんなふうに言い合うことはなくなる。雪が降り積もっていけばその重みを段々と感じるものだ。しかしそれが溶けて流れていってしまえば、積もった想いは思い出に変わる。そのどちらを選ぶのか、成り行きに身を任せるにしても、予感を抱いていたかった。コニングクリーク近くのブドウ畑にて、キャスティはぼんやりと小屋の傍のベンチに腰掛けていた。町を臨む丘の上にあり、海沿いであるから風がよく吹いて、水平線の向こうまで見渡せる。この景色が好きだった。(……一等星)暮れなずむ空ながら、輝く星を見つける。オズバルドの友人曰く、星はいつだってそこにあるものと、季節ごとに位置を変えるものとがあるらしい。パルテティオに促されて眺めた望遠鏡の向こう側は、肉眼で見てもやはり美しいなと思う。「こんなところにいたんですか」遠目に見えていたから、近付いて来るのを待っていた。ふう、と一息ついたテメノスは首筋の汗を軽く拭い、決まっていたかのように隣りに座る。「飲む?」「いただきます」水筒を渡すと彼は何口かまとめて飲み干し、大きく息を吐いた。「おじいさんみたいね」「まだおじさんでありたいものです」ふふ、と笑って水筒を受け取る。「なにかあった?」キャスティがブドウ畑に出かけたことは、ヒカリとオーシュットにしか伝えられていなかった。どちらかまたは二人に聞いてここに来たというなら、なにか理由があったのだろうとおもったわけだが。テメノスはゆるく首を振り、特に何も、と呟くように応えた。「ここはやはり、眺めがいいですね」「そうよね。好きなの」「私もですよ」何気なく感想を口にしたつもりだったのに、穏やかに返す、その横顔を見つめていると、もう一度言ったほうが良い気がしてしまった。「ねえ、聞いてくれる?」「なんでしょう」「私も好きなの」「? ええ、はい……」景色が、と言いかけたのだろう口が何も言わなくなった。瞬きを一つ。驚く顔はいつにも増して若く見え、苦笑した。「そんなに驚かなくてもいいじゃない」「……驚きますよ」「いつも言われる気持ちがわかった?」「そうですねえ」彼は壁にもたれるようにして背筋を伸ばし、藍色に染まりつつある空を見つめた。「嬉しいものですね」彼の目にも見えるだろうか。太陽の光が残るこの時間でも、その輝きが分かるあの星が。あとで、教えてあげてもいいかもしれない。カナルブラインで見た星空に感動したあの時のように、きっと今夜の星空は一層美しく目に映るだろうから。畳む favorite やった〜! わーい! 嬉しいです! ありがとうございます! 感謝! 2025.4.14(Mon) 23:53:54 小説 edit
#テメキャス短い話
何回告白しても伝わらないやつの派生。
通常なら好きって言わないんだよなあ……とおもったので、カプタグをつけて逃げます。雰囲気はコンビ寄りです。
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