home palette
chat
BONNO!
BONNO!

BONNO!

ヒカ・キャス・テメに対する煩悩かべうち

No.273

#ヒカキャス
#ヒカキャス長い話
その恋が終わるまで、みたいな二人の始まり。冒頭。
数行抜けていたので追記。



「そうね」
白波が、夜明けの光を反射し、真珠のように宙に飛ぶ。
「──だから私は、あなたの問に答えられない。だって私達には、他に大切なものがあるもの」
「……それは、そうだが」
ロストシードの酒場でテメノスと三人で飲んでいたときのことを思い出した。内なる陰の存在をどう取り扱ったものか迷っていたあの時、彼女達は変わらず寄り添ってくれた。
そこに親愛こそあれど、それ以上のものはない。
分かっていたはずのことだが、いざそれに答えが返らなかった今、ヒカリの胸は満たされるどころか砂漠のように渇きを覚えるほどに飽いていた。
「ヒカリくん。あのね」
そこへ、水を一滴垂らすように、彼女は続けた。
「嬉しくないわけじゃないの」
残酷なほど優しい言葉だ。だが、不誠実だとは思わなかった。彼女に限って、問いをはぐらかし、答えを曖昧にすることはない。裏を返せば、この曖昧にも思える返答こそが、彼女なりの誠意であり、ヒカリの問に対する回答なのだと分かる。
「……可能性はあるのか?」
一握りの希望でも構わないと問いを重ねれば、キャスティは困ったように微笑んだ。聞き分けの悪い子供を宥めるような穏やかな顔つきだった。
「じゃあ、こうしましょう。旅路の間だけでいいから、怪我をしたら必ず私に診せて」
「それは……いつもと変わりないように思うが」
答えはある種出ているも同然なのではとヒカリが返答を悩めば、彼女はゆるく首を振った。
「あなたの傷が治るその時まで、ずっと隣に居るということよ。……二人でゆっくり話し合っていきましょう。ね?」
凪いだ海のように、その声はどこまでも穏やかで、ヒカリの傷をも慰めるように響いた。



これはヒカくんに恋の自覚があるから、同軸じゃないな……って思い直し、ヒカキャスに落ち着く方向でまとめることにしました。
最後はそれでもどうしてもあなたがいい、になる二人でいってもらう。書き終わるかはわからない。
畳む

小説