#テメキャス#ボツ 探偵役テメノスと踊子キャスでとある酒場に探りに行く話……の没。この前描いた漫画のワンシーンとほぼ丸かぶりしていますし中略しています。続きを読むまた告白シーン書いてしまった!!危険です」「でも、こうする方が早いでしょう?」「そもそも、あなたがそこまでする必要はないはずです」「──あら、そう」ここで彼女の声色にもう少し注意を払っていたら、後の事態は避けられたのだろう。数刻前のやり取りを頭の痛い思いで振り返りながら、テメノスは胸中でため息をついた。ワイルドランドのとある酒場で、月影教の残党が信者を増やしている──。そんな話を仕入れてきたのは、血の枷から逃れ、手にした自由のままに世界を旅して歩く助手兼旅人のソローネだった。影響がないのであれば、何を信じても見逃すテメノスだが、どうやら彼らは信者を増やすために少々強引な手を使っているらしい。仲間の一人、パルテティオの故郷も近いことから、どうにか平穏を取り戻せないかということで、オズバルド、キャスティの二人を呼び寄せ、四人で退治をすることになった。(中略。ソロちゃんとキャスで酒場に潜り込もうという話になり、冒頭のやり取りが発生。キャスが勝手に行動してしまい、ソロちゃんにはオズと居るよう告げて、テメ一人でキャスと目当ての情報を探しに酒場へ行くことになった)半個室の部屋が並ぶ。そのうちの一つに彼女が居る──カーテン越しに響く声や薄っすらと透けて見える客と踊子の絡む姿に嫌悪感を覚え、早く見つけなくてはとテメノスは耳を澄ませた。彼女に限らず、ソローネにだってこのような場に潜り込ませるつもりは毛頭ない。加えて、キャスティとは恋仲に等しい関係性だという自覚があるだけに、なぜ彼女が自分の身を差し出してまで協力しようとするのか理解できなかった。(……どこにいる)こんなことならさっさと想いを告げておくべきだった。テメノスと共に生きる選択肢を意識してもらうために慎重に事を運んできたというのに、全くもって逆の効果しか得られていない。「ふふ、……悪い子ね」どこまでも続くのかと不安になる長い廊下の途中、キャスティの声が聞こえてテメノスは足を止めた。見つけた──振り返ったその目に移ったのは、女性の影と、その足元にすがりつく男性の姿だ。「取り込み中、失礼します」カーテンを素早く開く。目に飛び込んできたのはキャスティの素脚に頬を押し付け泣いている男性と、そんな彼の背中を撫でて慰める彼女の姿だ。二人して突然の来訪者に驚き、大きく目を開いている。「な、なんだ貴様」「彼女は返してもらいます」「え?」「なん、金を返せ!」男が追いかけて来るのも構わずキャスティの手を取り先を急ぐ、似たような景色ばかりであるので角を曲がったところで空いていた半個室に潜り込み、カーテンを閉めた。「テメノス? なにを、」「シッ……」備え付けのソファに彼女を押し込み、口を覆う。男の足音と探すような声が響いたが、その音は段々と遠くなり、夜を楽しむ男女の声だけが空間を満たす。「……もう大丈夫でしょう」ゆっくりと手を離す。キャスティは静かに起き上がった。 「大丈夫ですか?」「なにが? 話していただけよ」どことなく強がるような物言いに驚いて、テメノスははっとキャスティを見つめる。その手を取って誤解を解くべきだと思ったが、それよりもキャスティが、ごめんなさい、と謝罪を唱える方が先だった。「今のは、良くなかったわ。あなたは私を……一応、助けに来てくれたのでしょう? ありがとう。慣れないことはするものじゃないわね」「いえ……まあ、それはそうですが」「お客さんをできなかったって店長へ伝えてくる。あなたはここで休むか、やることがあるなら先に行って」「……」出ていこうとするキャスティの手首を取る。覗く素足を視界に入れぬよう配慮しつつ、彼女の顔を見た。「あなたが心配で、助けに来ました。こんなことをしなくとも、探りを入れるやり方はいくらでもありますから、協力を……キャスティ?」「ううん、なんでも……なんでもないの」そう言いつつもその目から涙が溢れていくので、ハンカチを取り出す。それすらも片手で拒み、彼女は顔を隠すように立ち上がった。「今は一人にして、」「できるはずがないでしょう。一人で泣かないで、落ち着いてからでいいので話を聞かせてください」「いや」「……困りましたね」対応として何も間違ってはいないし、彼女がよくやるやり方でもあるのに、真っ向から跳ね返されてテメノスも諦めた。とにかく彼女はテメノスの前から立ち去りたいらしいが、これほど弱っている彼女を他の誰かの元へ行かせるなど、誰が許せよう。「分かりました。あなたが好きにするというなら、私もそうします。恨みっこなしですよ」「そうよ、だからさっさとあなたは調査に、」口付けることは容易かった。肩を掴み、抱き寄せ、逃げようとするその顔の下半分を掴んで唇を寄せるだけでいい。「や、」「嫌いなら、拒んでください」「──ッ」形を確かめるように、彼女の身体を撫でる。押し返そうとするその手を掴み、口付け、真正面からその目を見据えて告白する。「好きなら応えてください。……気が済むまで」「卑怯なひと、」「ええ」涙に濡れていた眦に唇を寄せて、舌で涙を拭う。呼気が混ざり合うほどの近い距離まで彼女を抱き寄せ、もう一度、今度は優しく口先に触れた。畳む webclap favorite 嬉しいです! ありがとうございます! 感謝! 2025.5.21(Wed) 18:18:07 小説 edit
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探偵役テメノスと踊子キャスでとある酒場に探りに行く話……の没。この前描いた漫画のワンシーンとほぼ丸かぶりしていますし中略しています。
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