#ヒカキャス #ヒカキャス短い話 月見酒の独自解釈あり。月見酒するヒカくんとキャス。ヒカキャスちっくというか、まあこんな感じのよくあるネタもヒカキャス似合うよね的な感じでございます。続きを読む持ち手の長い杯に酒を満たし、月の光が写るようにキャスティが腕を動かす。「この辺りかしら……できたわ」「気に入ったのか」「ええ、もちろん」以前仲間達と食事をした際にヒカリが見せたのは『月見酒』だった。酒の水面に写る月に舌鼓を打ち、空に浮かぶ月を愛でる。一風変わった酒の飲み方を意外にもキャスティは気に入ったようで、満月のこの夜、ヒカリを呼び止め誘ってきた。月を見ながら、二人で酒を飲まないか、と──。友からの誘いは嬉しいものだが、特に彼女からの呼び掛けには常と違う、妙な落ち着きのなさを覚える。それはおそらく性別の違いを意識するからだろうと思うが、ではソローネやアグネアに対しても同じものを感じるかというと、さてどうだろうなと思う己もいる。「口に合わなかった?」「そんなことはない。……考え事をしていた」「あら、私がいるのに他の女の子のことでも考えていたのかしら」促されるままに酒に口を付けたわけだが、彼女の冗談に思わず顔を上げてしまった。「そんなことは」「冗談よ? でも、もしそういった人がいるなら聞いてみたいわね。……ヒカリくんだと婚約者になっちゃうのかしら」仄かに赤らんだ頬から察するに、酔っているのだろう。呆れる思いで軽く息を吐き、酒を飲む。パルテティオが調達したと言っていた。不味いはずがなく、喉を芳醇な香りが通り過ぎ、遅れて苦味を感じる。「ねえ、そういう人は居るの? とびきり美人なお姫様とか」「……それを聞いてどうする」珍しく食い下がる。いや、アグネアによれば彼女はこういった色恋話が好きなのだと聞いたような覚えもある。酒が入ることで一層饒舌になるのだろう。「どうって、いいわねえ……って和やかに見守るだけだけど……」「……」案の定だ。ヒカリはねえねえと構う彼女の声に、そんな相手はおらぬ、と一言だけ返し、黙って酒を飲む。杯が空けば、どうぞ、とキャスティが酌をした。有り難く受け止め、満ちた杯に月を写す。「綺麗なお月様ね」彼女が笑う。何気なくその顔を見つめて、彼女の瞳に反射した小さな光に目を奪われる。「……私の顔になにかついてる?」「? いや、何も」首を振り、酒をもう一度含んでから、ヒカリは唇を緩める。「確かに、綺麗だ」それからキャスティが暑くなってきたと上衣を脱ぎ始めるまで、ヒカリは和やかに談笑する彼女の姿を見つめていた。──なぜなら、傍の月が、目が離せぬほどに美しく微笑んでいたから。畳む favorite 2025.10.6(Mon) 21:13:59 小説 edit
#ヒカキャス短い話
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