#テメキャス #テメキャス短い話 #現代パラレルなど ハロウィンによくある(?)どっちか片方が吸血鬼なやつ。深く考えてはダメです。ソリスティア世界観です。続きを読むそれは、偶然だった。いつものように治療を行い、患者の世話を焼いているだけだろうと、皆、彼女の帰りが遅くとも気にしなかった。ならばなぜ、その時に限ってテメノスが呼びに行くことになったのかといえば、パルテティオが商談で話し込み、彼の持ち金に目を光らせる賊にソローネとオーシュットが気付き、アグネアが踊りと歌を披露していて、ヒカリとオズバルドがそれに耳を傾けており、そう、消去法で様子を見に行くかと判断してしまったためだった。穏やかな潮騒に耳を澄ませ、宿を目指す。夜食代わりになるだろうかとパンとチーズ、エールを少々持ち、宿の主人と一言二言会話を済ませてから二階へ上がった。個室はなく、大部屋にベッドが並ぶため、彼女の姿はすぐに見て取れた。赤い、何かを飲んでいる。薬の小瓶に入ったそれを、なんともうまそうに飲み干すと彼女はうっとりとした息をついた。「久々の食事……」ギシ、と。テメノスの足下で音が鳴った。ここだけ床板がたわんでいたらしい。ハッと彼女──キャスティが振り返る。室内光はなく、窓から射し込む月の光だけが照らす中、その双眸が猫のようにはっきりと暗闇に浮かび上がっていた。「……どうしたの?」誤魔化せたと、思ったのだろうか。彼女は平坦な声でそう言って立ち上がった。「夕食を、どうするのかと思いましてね。少しばかり持ってきました」「ありがとう。治療が終わったところなの、いただくわ」何も知らぬふりをすれば、いいのだろうか。テメノスはわずかな逡巡の末、キャスティにパンの入った紙袋を渡した。「見ていたのに、何も言わないのね」受け取る手前、キャスティは苦笑してそう言った。「……では聞きますが、何をしていたんです?」「食事よ。……記憶を取り戻して、本当の食事の仕方を思い出したの」軽食を食べる間、彼女はぽつりぽつりと自身について語った。人のようで人とは異なる種族であること。治療の過程であふれた血を吸うことで、飢えをしのいできたこと。人間の食事も食べられるが、あくまで空腹を誤魔化すためのものであること。「不衛生なのでは?」「そうね、否定しない。でも、あなたの血を飲ませて、なんて言えないでしょう? 仕方ないのよ」飢餓状態が続けば死に直結するため、自分の理想のためにも仕方なく血を飲んでいるが、生命維持さえできれば良いので、構わないという。そんなはずはないのだろうが、かといってここで反論したところで、無意味だ。衛生的にも問題のない血となると、それは健康体の人間から血を分けてもらうということになり、今この場でその事情を知っている者がテメノスしかいないとなると──自分が分け与えることになってしまう。キャスティもそれを分かっているから、平気なふりをしているのだ。「本当は、皆とお別れするまで耐えるつもりだったのだけど、倒れちゃったら見境なく襲ってしまいそうで怖くて。……黙っていてくれる?」「言いふらすような人間に見えます?」「見えないわ。それに、あなたは気にしなくていいから、いつも通りでいて」困ったように微笑むので、テメノスの方こそ困惑した。わざとなのか、ただ素直なだけなのか分からないが、気にせずいろというのは少々、いや、かなり難しい話だ。「……例えば、」「テメノス」硬い声音で、その先を拒まれた。「私は、これで生きてきた。ここで例えば健康体の血を得たとして、その後どうなると思う?」「……すみません。軽率でしたね」例えばここでテメノスの血を飲んだとして。血の味を知ってしまえば、きっと、あとには戻れなくなる。その先に待っているのは、互いに望んだ未来ではないだろう。だからテメノスは大人しく引き下がり、何も知らぬふりをすることに決めたのだ。──彼女が倒れるその瞬間まで、墓まで持っていくつもりだったのだ。(中略)「飲んでください」「……」指先を差し出しても、彼女は唇を引き結び、黙っていた。乱暴な真似はしたくない。テメノスはただ静かに血が流れ落ちていくのを見守る。「では、私はこのまま失血するでしょうね」「治療するわ」「その前に、あなたの口を塞ぎますよ」「……できると思ってるの?」「ええ、まあ」今の彼女はかなり衰弱しているので、テメノスでも十分に対応できる。現に今、彼女はテメノスの手を振りほどくことができずにいた。「……早くしてください。目眩がします」「大変。早く横になって、私のことはいいから、」ベッドのそばにいる時点で、こちらが有利なのだが彼女は気付かなかったらしい。それほどまでに身体に支障が出ているのなら、なおのこと血を飲ませなくてはなるまい。テメノスはキャスティを抱きしめ、片手で唇を封じるように覆った。もちろん、指先を傷つけた手である。「っ……!」口を開いたので指を差し入れる。舌に触れるだけでビク、とその肩が震え、抵抗力を失った。「……キャスティ?」「あ、……ま、待って、なにかしら、これ……」間近で見ていたのでテメノスには何が起きたのかすぐに分かった。彼女の瞳の色が、形が変わり、猫のようにきらめいたのだ。──気付けば、押し倒されていた。両手を掴まれ、柔らかいものに押し付けられる。「なにを、しているんです」言葉を発すれば、テメノスの腹の上に乗り上げ、キャスティは蠱惑的に微笑んだ。「なにって、……食事でしょう?」なんかそんな感じで吸血鬼とインキュバス?サキュバス?のあいの子の特徴持ってるキャスと、ただの人間テメみたいな……一度舐めると色んな意味で止まらなくなるからあまり飲みたくないキャスと、いい感じの塩梅でそれを活用していくテメと……みたいな妄想をしました。畳む favorite 2025.10.16(Thu) 20:17:59 小説 edit
#テメキャス短い話
#現代パラレルなど
ハロウィンによくある(?)どっちか片方が吸血鬼なやつ。深く考えてはダメです。ソリスティア世界観です。
なんかそんな感じで吸血鬼とインキュバス?サキュバス?のあいの子の特徴持ってるキャスと、ただの人間テメみたいな……一度舐めると色んな意味で止まらなくなるからあまり飲みたくないキャスと、いい感じの塩梅でそれを活用していくテメと……みたいな妄想をしました。
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