#テメキャス #テメキャス「いつもの仕事」タイトル「stellar work」英語版のテメがキャスに治療受けるとこの発言をするんですよね。いつものお仕事ですよ、みたいな翻訳になるのかな?←素晴らしいなどの意味もあるから流石です、とかかも。それと風邪引いたテメと治療に来てくれるキャスの話を紐づけてみました。思ったより長くなったし予定と違うオチになったけど、まあいいかなと思ってあげてみます。短編です。友情出演:オルトさん、フレイムチャーチの薬師さん続きを読む何気なく咳をしたことが、全ての始まりだった。子供達に揶揄われ、シスター達からは気づかわれ、そういえば旅中では優秀な薬師がいたからあまり風邪を引かなかったのだと思い出し、大人しく町の薬師を頼って薬をもらった。数日経過。喉の痛みが出てきた。これはただの風邪ではなさそうだと旅路で得た知識を元に薬師に相談したが、その材料での調合には明るくないという。これではまずいなと回復魔法で一旦の緩和を試み、そういうわけで治しに来てくれないかと、かつて共に旅をした薬師に手紙を書くことにした。(……『まずは調合について教えてください』と書き直すか)彼女はテメノスと違い、決まった場所に居座らず、旅を続ける者だ。東大陸にいるかもしれないし、西大陸の端にいる可能性もある。フレイムチャーチにわざわざ来てもらうより、調合方法を返事に書いてもらうほうが効率が良い。(しかしまあ、『こうでもしないと顔を見ることもないでしょうから、』と付け足して)来てくれてもいいし、来なくてもいい。その自由は彼女にあるべきで、こちらが願うことではない。「テメノスさん、お加減はどうです?」「ああ……ありがとうございます。あまり良いとは言えませんが、昨日よりはましですね」「そうですか……。すみません、私も近くの町まで出かけたのですが、旅の薬師にもなかなか会えず」「いいんですよ。それより、この手紙を早急に飛ばしてもらえますか? 特徴を伝えておきますので」「いいですよ。……もしかして恋人へのお手紙です?」「はは、まさか」空咳を何度か繰り返しながらやり取りを済ませ、扉を締める。喉が痛むし咳はひどい。何度吐きそうになったことやら、数えるのも億劫になっていた。頭痛、耳鳴り。熱は出ていないが、この様子ではいつ熱が上がってしまうかもわからない。大人しくベッドに横たわる。翌日、オルトが顔を見せに来た。移ってはいけないからと忠告していたのに、彼は飲み物に食料と、新たな情報を持ってやってきた。「ニューデルスタ停泊所で、エイル薬師団の姿が目撃された。近く、こちらにやってくるはずだ」「……そうですか」「死にそうな顔をしないでくれ。俺は風邪を拗らせたことがないから、気持ちは分かってやれないが……あんたの元気がないのは、落ち着かない」「やれやれ……随分と角が取れてしまいましたね」初めの頃の堅苦しさを思い出して笑うと、彼もまた小さく笑った。「早く元気になれよ、テメノス」そうして彼が扉を閉ざしたところまでは、記憶がある。──複数人の足音、息遣い。飛び交う声。熱の上がった頭部を誰かが支え、口に何かを押し付け、無理矢理に流し込んでくる。「もう一口飲むのよ。大丈夫、必ず治すから」どこか聞き覚えのある声だったが、意識が朦朧としていて判別はつかない。言われるままに苦いそれを飲み干し、再びベッドに寝かされた。冷たい指先だった。額に、頬に指先が触れて心地良く、熱が冷えていく。水の音に目を覚ました。額に濡れ布巾が載せられたことで、あの音は布巾を絞る音だったのだと理解する。目を開けると、視界が眩しい。室内だというのに、一体どうしてこうも明るく感じるのか──「目が覚めたのね」傍らに座っていたのは、かつて共に旅をした優秀な薬師、キャスティだった。「まさか久しぶりの再会がこんなふうになるなんて。随分と無理をしたんじゃない? だめよ、いくら仕事が楽しくても、ちゃんと身体を労ってあげなきゃ……テメノス?」いや、まさか。手紙の返事は来ていない。オルトからなにか話を聞いたような気もするが、思い出せない。膝の上に置かれていた彼女の手首を取り、見つめる。本物のように見えるし、一方で、自分の作り出した幻覚のようにも思えた。「大丈夫? ぼんやりとしているみたい……意識はあるようだけど、テメノス、返事をして」肩を強い力で叩かれた。それが意識の確認法だと気付かず、痛みに顔をしかめ、反射的に彼女の手を引いてしまう。「きゃ、」自分の上に倒れ込んできた身体は、思うよりも軽かった。当然だ。彼女がどれほど強く在っても、性差は越えられない。「ごめんなさい。上に乗っちゃって……」薬草と、花の香りがした。それでもまだ信じられなかった。夢だろうと思い、夢ならばいいかと開き直って、一度だけ唇に触れて、抱き締めた。実を言えば、明かすつもりのない好意を抱えていた。それが好意だと気付いたのは旅を終えてからになる。離れてから分かることもあるものだと理解し、現状をただ受け入れようとしていたつもりだったが、ここまではっきりとした幻覚を見ては堪らえようもなかった。せめて一言、それらしいことでも伝えればよかったと。せめて、別れの抱擁だと言って抱きしめておけばよかったと。細やかながらも欲深い感情が今更意識され、それが行動に出た。彼女は黙って見下ろしていたが、テメノスが何かを言わんとしたところで黙って安眠草の薬を口に押し当てた。よって、テメノスの意識はそこで再び途切れ、──それが夢ではなかったらしいという実感とともに、つい先程、飛び起きた。見慣れた自分の家だが、自分以外の人間の姿がある。鞄が、荷物が、そこらに置かれてある。コポコポと卓上から音がしている。炎の精霊石を使った簡易コンロ、その上に置かれた円筒から湯気が立っていた。湿度を保つための装置なのか、沸騰して危うくなる気配はない。ベッドの足元側にキャスティは埋まるように眠っていた。若干の距離を感じるのは、まあ、当然の対応ではあるのだが、いくらなんでもそんな場所で眠るのは彼女の健康を害す。ベッドサイドにたたみ直されていた自分のローブを取り、上からかけてやる。靴音を忍ばせ、机のそばへ移動した。粉末がいくつか、メモも複数ある。これが今回の自分に必要な薬だったのだろう。「……起こしてくれてもいいのに」「すみません。起こすつもりはなかったのですが」「いいのよ、気にしないで。経過を見たいから、座ってほしいわ」眠たそうに目をこすりながらも、はきはきとキャスティは指示をする。メモなどをひとまず机上へ戻し、ベッドへ腰掛ける。両頬を包み込むようにして顔を向き合わされ、緊張した。「熱はないわね。瞳孔の開きもなし、……呼吸も安定しているし、脈も……少し早いかしら? まあ、許容範囲ではあるわね。どこか、身体に違和感はある?」動かしてみて、と言われるままに両手足を動かし、問題ないと告げる。それでようやく肩の荷が下りたように彼女は大きく息をついた。「良かった……。間に合って」「ありがとうございます、キャスティ。あなたが治してくれたんですね」「ええ。あなたの手紙を受け取って……なんだか様子がおかしかったから、立ち寄ったのよ。町の薬師から詳しいことは聞いてはいたけど……そうだわ!」はっと何かに気づいたように立ち上がると、キャスティはいそいそと鞄を身につけ扉に手をかけた。「私、あなたが治ったことを報せてくるわね。ひどく心配していたみたいだし、あなたも恋人がそばにいた方が嬉しいでしょう?」「……少し待ってください、キャスティ」理由の分からぬことを言い置いて出ていこうとするので、急ぎ、内側に開きかけた扉を押さえた。体重をかけてやれば、流石の彼女も扉を開けきらない。「町の薬師に報告するというのは、まあ、旅をしていたときにも見てきましたから納得はできますが……その後なんといいました?」「え、恋人なのでしょう? 町の薬師と」「違います」「ええっ?!」「どうしてそこでそれほど驚くんです……」「だって、それじゃあどうして……」驚かせたことで、キャスティが扉から手を離してくれた。予想外の反応だったが、これでひとまず引き止めには成功した。テメノスは頭痛もなくなったスッキリとした頭を片手で押さえつつ、深呼吸をする。「同意なく迫ったことは謝ります。すみませんでした。あのときは意識が朦朧としていました。……ですが、あれは町の薬師と恋仲であるから取ったわけではなく、あなたがいることを夢だと思って……恥ずかしい話、夢ならばいいかと動いてしまった結果です」「……ええと、」まだ話の主旨が掴めぬのだろう。仕方のないことだ。彼女にはそういった素振りはこれまで一度も見せてこなかったのだから──「つまり、熱で幻覚を見ていたということ?」「どうしてそうなるんです?」「違うの? でも、あるのよ。熱で頭が錯乱して、治療者を襲ってしまうことが……私も過去に何度かあったし」思わず、彼女の右手を掴んでいた。扉と自分で彼女を挟み込んで、掴んだ右手を押さえつければ、逃げ出すことはできなくなる。「違います。他と一緒にしないでください。私は……、」このまま彼女の髪を撫で、あるいは頬を撫で、そのまま好意を告げることもできたが、テメノスはそこで大きなため息をついた。好意を押し付けたいわけではない。ただ、誤解してほしくないだけなのだ。「……あなただから、手が出てしまった、と。まあ、これも結局は身勝手な話ですね、すみません」名残惜しいが、手を離す。「え、ええ……」「もう一度、ここへ来た経緯を聞かせてもらえますか?」先程まで彼女が座っていた椅子を引きずり、自分はベッドに腰掛け、座るよう促した。キャスティから聞いた話によれば、テメノスはもう七日ほど熱に浮かされ寝込んでいたらしい。日に日に顔色の悪くなっていくテメノスを、町の薬師をはじめ町の者も皆心配しており、その矢先にキャスティが到着した。状態と経過、症状を見て最近東大陸で流行り始めた感染病だと察した彼女は、直ぐにテメノスと接触した人々へ予防薬を調合、同時にテメノスに現れた症状緩和の調合と、特効薬のためにオルトと共に採取に出かけ、そうしてやっと経過が落ち着いてきたのが一昨日だという。「副作用に幻覚や混乱が生じるから、普段は使わないのだけど、今回は急がないといけなくて少量だけ調合したの。……その、ごめんなさい。幻覚だと疑って」「いえ……」「でも、本当に驚いたのよ。あなた、何も言わないから……」「言ってませんでした? あなたの名前を呼んだつもりでしたが」「言ってないわ」「……はい」薬が効いて早くに目覚めたは良かったが、それによって手が出たというのは、なかなかにいたたまれない。なにより、キャスティの様子が最初から最後までいつも通りであることが、テメノスの恋心をひどく傷付けた。もう少し照れるとか、焦るとか、何らかの変化があれば慰められたものだが、事実としては許可もなく口づけた乱暴者であるので、仕方ないといえば仕方ない。「……エイル薬師団といえば、あなた以外にもメンバーがいるのでは? 彼等に変わっても良かったでしょうに」「急いできたのよ。それに、仲間は船で西へ旅立った後で」「そうですか。すみません、わざわざ来ていただいて」「いいのよ。あなたの病を治せて、本当に良かった」それからは空気も解れ、近況報告が続いた。旅をしていた頃には戻れないが、こうして旅の後の彼らの様子を語り合えるのは良いことだと思う。そのまま話し込んでいると、話し声を聞きつけたのか近所の者が様子見に訪れ、あっという間にテメノスは町の皆からも快方を喜ばれる結果となった。キャスティはその間に宿で休むと言って家を出ていってしまったので、健康になったテメノスが落ち着いてキャスティと顔を合わせたのは翌日の昼になる。「広い庭園ね」「薬草園もありますよ」「後で見に行くわね」大聖堂の直ぐ側には開けた土地があり、そこをいくつかの区画に分けて植物を栽培したり庭園としたりして景観を作っている。そのうちの一つには外でティータイムができるようガーデンチェアとテーブルが用意されており、今日はそこでちょっとした茶会を開くことにした。青と白のテーブルクロスを敷き、上にスコーンやビスケットの入った籠と、ジャムやチーズ、紅茶の入った瓶の籠とが置かれた。口に合ったようで、キャスティは嬉しそうにこれらを食べた。テメノスもそれなりに食欲が戻っていたので、スコーンにジャムを付けてゆっくりと味わう。「それで、この間のことですが」テメノスを見つめるキャスティの目はいつも通りで、だからこそはっきりと口にすると決めた。「私はあなたのことが好きなんですよ、キャスティ」「……」「今回はお陰で命が助かりましたが、次回からは、それを理解したうえで来てください。あのようなことは二度としないと誓いますが、また混乱しないとも限りませんし……」「別に、私は嫌だなんて言ったつもりはないわよ」「はい?」「そりゃあ初めてのことで驚いたけれど、錯乱してたみたいだし、仕方ないかしら……と思って」「……そうですか」そう言ってビスケット咀嚼し、紅茶で喉を潤す姿は平然としていて、隙がない。やはり病み上がりで判断力が鈍っているのか。一度ならず二度までも失態を繰り返した自分を反省しつつ、テメノスは諦めて紅茶を飲んだ。「こういうのって、返事をした方がいいものなのかしら」「……掘り返さなくて構いませんよ。忘れてください」「あら、拗ねないで。少し時間が欲しいだけよ」瓶から新たに紅茶を注ぎ入れつつ、何の、と短く問う。断るための時間など不要なように思うが。「あなたと過ごす時間を考えないといけなくなるでしょう? テメノス」「……キャスティ、それは」「だから、返事は考えがまとまるまでお預けにするわ」笑顔で無慈悲に告げ、キャスティはスコーンを手に取る。穏やかな昼下がり、平和な日常風景。見慣れた景色の中で、彼女が楽しげにティータイムを楽しむ姿を見て、テメノスはやれやれと肩を竦めるほかなかった。「ちなみに、返事は後で構いませんが、手を出すのは早めてもいいということです?」「あんなことは二度としないって言ったものね。信用しているわ」「……大人しく返事を待つとします」畳む追記。思ったよりまとまってたので公開し続けます。微調整しました。 favorite やった〜! わーい! 嬉しいです! ありがとうございます! 感謝! 2024.12.10(Tue) 00:14:15 小説 edit
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タイトル「stellar work」
英語版のテメがキャスに治療受けるとこの発言をするんですよね。いつものお仕事ですよ、みたいな翻訳になるのかな?←素晴らしいなどの意味もあるから流石です、とかかも。
それと風邪引いたテメと治療に来てくれるキャスの話を紐づけてみました。
思ったより長くなったし予定と違うオチになったけど、まあいいかなと思ってあげてみます。
短編です。
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