#ヒカキャス #ヒカキャス「共に在るために」思ったより長くなりそうなので置いておきます。両片思いになるまではいけるかな……と思ってます。ヒカ/キャスよりです。続きを読むその知らせが届いたとき、ヒカリは朝餉を堪能している真っ最中だった。見慣れた部屋、ベンケイ、ライメイ。ミッカは一緒の場は緊張しますからと言って同席を辞退し続けており、新しい日常の始まりはこの光景から始まる。「エイル薬師団なる薬師の噂が届いています。なんでも、リューの宿場町付近で現れたサンドワームを撃退し、負傷者を救ったとか」「……キャスティだな。彼らの所在は?」「数日前はサイにて姿が見えたとのこと、もし砂漠を越えてやってくるならば、次の目的地はク国かと」「そうか」ヒカリは皿の上を綺麗に平らげると、急ぎ、膝を立てた。「外に出る」「は。……というと、出迎えなさるので?」「いや、周囲を見るだけだ。いつやって来るか分からぬからな」「承知しました。キャスティ殿は戦後も兵士や民の治療に尽力頂いた御方、盛大に迎えるとしましょう」「……ほどほどに頼む」「ええ!」ベンケイが明るく胸を打つ。ライメイも静かに食事を終えると、城下の様子を見てくると言って席を立った。ヒカリがク国を統治して、約一年が経過していた。鎮魂祭の時と比べ、建物の多くは修繕されたが柱から焼け落ちたものは未だ建築の目処が立っていない。パルテティオに頼り、材料を仕入れ、大工を連れてきてはもらったが、ク国特有の建築手法は並の大工でも手こずるようで、通常より時間がかかっていた。なにより、戦火の傷跡はク国以外にも多く残る。ヒカリは剣で敵を打ち払い、民を守ることはできるが、癒やすことはできない。だからキャスティのような、戦や国など関係なく傷を癒そうと働きかける薬師の存在には心の底から尊敬の念を抱いており、その志に共感すら覚える。『……多くを救うには、必要な犠牲だった』紫の雨が降る中、かつての同胞と対峙し、打ち勝った彼女の寂しげな後ろ姿が今でも目に焼き付いている。志を違えた友と、ヒカリも剣を交えた。剣を抜けば容赦はできず、せめてその刃を下げてくれたならこちらとて配慮ができた。だが、そう甘いことを言ってはいられないのが現実だ。リツの墓の前で黙祷を捧げたヒカリは、髪を風に靡かせ、急坂を降りていった。ここにはク国の正門を守護する陣営が天幕を下ろし、修練場も備わっている。兵士達と剣の稽古を終え、砂漠へ向かった。無論、軽装備でそう遠くへ行くつもりはない。ただ、もしかすると、あの空色が見えるかもしれないという思いはあった。地響きが轟いた。地震かと疑うような地面の揺れ。大きな魔物が近くに潜むというなら、今ここで打ち落としておくべきだ。震源地を目指して走れば、見覚えのある色を纏った人間が一人と──緋色の衣装を靡かせる者が、一人。「今よ!」さみだれ切りで敵を怯ませ、仲間へ叫ぶ。すかさず毒液が投げ付けられたが、消滅にまでは到らない。「助太刀する」駆け出し、剣を抜く。魔物は一体だ、ならばさみだれ切りで十分。「! 待って、殺しちゃだめ!」「……!」袈裟がけに、あるいは真横に剣を払い、切り刻む。三枚に下ろしてやれば、流石に魔物も虫の息だ。「ああ、良かった。ありがとう、ヒカリくん」「やはりそなたか。殺すなとは、一体……」「解毒薬を作らないといけなくて。そのために毒の分析が必要だったの」魔物──サソリの胴部から内蔵を取り出し、どろどろとした液体を小瓶へ移す。「これでよし……と。それじゃあ、行きましょうか」「戻るのか? 少し休んではどうだ。ク国も近い」ヒカリが訊ねれば、キャスティはその柔和な顔に笑みを浮かべて頷いた。「もちろん、ク国へ。私達、予備の解毒薬を作るためにここへ来たのよ」畳む favorite やった〜! わーい! 嬉しいです! ありがとうございます! 感謝! 2024.12.10(Tue) 11:28:22 小説 edit
#ヒカキャス「共に在るために」
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