実プレイではあり得なかったのでまだ書いてない、三章後の盗賊さんと学者がもし顔を合わせていたらの小ネタ。



宿屋の屋根でぼんやりしてたら、宿の扉の開く音がして、見てみればサイラスが歩いている

こんな夜になんだ……?と思って、いつもなら声をかけないけど、この時は、そういえば何も話してないなと思っておりて、声をかける

「何をしている」
「うわ。……驚いた、キミか」

「星を見ようと思ってね。今日は新月の夜らしいから」
「新月?」
「ああ。月のない夜のことをそういう」
(ああ、だから今日は……夜が暗いのか)

オアシスの中央に立って、カンテラの火を小脇に置いて、サイラスが片手に望遠鏡を持って空を見上げる

凪の空、星がよく見える

サイラスは星を見てはカンテラの火を頼りに何かを書き留めて、やがてカンテラを拾い上げる

「人が星を見上げる理由を知っているかい?」
「……興味はない」
「太陽も月も移動するが、星だけは変わらずそこに位置してみえるからだ。ハンイットくんやトレサくんもたまに話しているように、地面の上を歩く我々は、空に輝く星を見て自分の位置を測る」
「……」

す、と彼の人差し指が星を指す

「私達がオルステラを迷うことなく旅ができるのは、何も道があるからだけではない。星を頼りに場所を知り、地図を記してきたからだ」
「……気は済んだか」

肩をすくめて溜息を吐けば、サイラスはにこ、と笑って
開きかけた口を閉ざして

「私は戻るよ」

という

カンテラの火でテリオンの足元だけを照らして

「火は必要かな?」
とカンテラを差し出されて

「……ある」

といって鬼火を灯して答えるテリオンさんに

「知っているなら、私から言うことはなにもないな」

とだけ呟いてすれ違う
読んだ

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