#ボツ
#小説
階段上にいたのはプリムロゼの方だった……

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「あ……」
青年は周囲を見渡し、彼女が他でもない自分に気が付いたことを理解すると、片手を振って、すぐに踵を返す。
サイラスは青年の走り去る背中を視線で追いかけたが、オルベリクとハンイットは揃ってプリムロゼに目をやった。リンデが踊子の足下に擦り寄る。
「気が済んだわ」
「そうか……」
いくらか明るくなった声色に、二人が安堵したのは間違いない。
「疲れたから、少し休むわね」
「プリムロゼくん。先程ここに立っていた彼とは知り合いかな?」
彼らが何事かを言い募る前、サイラスは先程の青年について尋ねた。竜石を取り戻すためにここを訪れたとき、彼女の存在に気づき、視線を送る者はいたが、彼のような反応を示した者はいなかった。
プリムロゼは、彼、と呟いた後、サイラスの補足を聞きながら髪の毛先を片手で弄る。
「きっと、ジャンだわ。レブロー様の嫡子で、幼い頃の知り合いなの……幼馴染と言えばいいのかしらね」

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