#メモ義兄弟×現代パラレルな盗賊×学者のネタメモ流石にこれはお話書くかわからないので……(テリサイじゃないところが長すぎるのとメモ書いたら満足しそうなので)……続きを読む両親の顔は覚えていない。気付けば孤児院にいて、気付けば里親が見つかっていた。「この子は手先が器用でして」レイヴァースという名の遠い親戚の家に行くたび、男はそう言ってテリオンを紹介した。その家には二人の子供がいて、一人は寮に入っていて顔を見せなかったが、もう一人は母親に連れられてよくパーティに顔を出していた。名前を、コーデリアという。おそらく、その男はレイヴァースに取り入りたくてあの手この手を使っていたのだろう。テリオンが物心つく頃には既に悪事と呼ばれる類には手を付けてしまっていて、幼心に反発したが、大の男に敵うはずもなく、また、仄暗い楽しさに魅入られて、結局十二の年まで人に言えないことをしながら生きた。男の再婚は、この年に行われた。相手は、オルブライトというそれなりに名の知れた家の女だった。反抗期が始まっていたテリオンは、男が再婚したと告げる前からその女について知っていた。というか、テリオンに仕事を命じるより女の相手をしたほうがよほど有意義だと思ったらしく、男からの依頼も虐待も減ったことで、時間ができたのである。どうやら、男は女にテリオンのことは告げていないらしい。話を聞いた翌日、がらんとした部屋に「好きに生きろ」とメモ書きが残されていた。別に、テリオンはそれで構わなかった。男が目指していたのは貴族だかなんだか知らないが、とにかく金も地位も権力もある身分だった。テリオンにはそれがどうにも窮屈に見えたから、置いていかれたことへの不満はなかった。ただ、男に連れられてパーティに出かける度、相手をしていたコーデリアのことだけは、ほんの少しだけ未練がなくもなかった。「誰に許可取って荒らしてんだ、お前」男の手を離れたことで、テリオンは盗みに出かける範囲を広げていた。その最中、ダリウスという少年に出会った。第一声はやや威圧的なものだったが、二言目にはテリオンの盗みの腕を褒め、数日後には同じ場所で落ち合い共に盗みをするほどの仲となった。ダリウスとの盗みに楽しさと居心地の良さを覚え始めた頃(数年経過)、テリオンは街ですれ違った青年に声をかけられる。「話を聞けば、息子がひとり居るというから迎えに来たんだ」すれ違った女が足を止めて振り返る。それほどに目を引く顔立ちと柔らかな声音の青年は、テリオンが逃げても翌日また顔を見せに来た。「キミの父親と私の母が結婚して、キミと私は戸籍上の兄弟となった」「ただ、一つ、謝らなくてはならないことがある。キミのお父さんは悪事を働いていたようでね、母の手で警察に突き出されたんだ。有罪は免れないし、おそらく十年そこらは外に出られないだろう。私がキミを連れて行こうとしているのは、そういう理由からなんだ」男に用はない。が、男と離婚しても、テリオンはオルブライト家に引き取られるという。教育熱心な家庭らしい。「放っておけよ。今更、まともな生活に戻るつもりはない」「それこそ、私の家まで来てもらいたいところだ。面白いものを見せてあげよう」青年と出会って、半年が過ぎようとしていた。ダリウスと微妙な仲になりつつあったテリオンは、盗みの仕事がないことを言い訳に、仕方なく、オルブライト家に向かうことにする。オルブライトの母親は、検事のようだった。職業病と言うべきか、新聞で見かけるような事件までプロファイルするくせがあるらしく、その青年もまた母親に似て謎めいた事件や出来事にはつい首を突っ込んで調べてしまうのだという。テリオンを見つけたのも、母のプロファイルと、青年の探索能力による、と。「キミが自由に生きることは制限しない。が、知っておくと回避できることは世の中にたくさん溢れている。数日、ここで過ごして、キミの生活に役立つことを増やしてみないか?」青年はそれを知識と呼び、知識は誰にも盗まれず、盗まれたところで誰の役にも立ち、自分の身を守るからと強く訴えた。あまりの気迫と、どちらかというと話し相手が欲しそうな雰囲気に、コーデリアに感じた放っておけなさを覚えて、しぶしぶ、頷く。「ところで、……あんたの名前はなんだったか」「サイラスだ。サイラス・オルブライト」こうして、数日だけ、義兄弟とかいうサイラスと二人で過ごすことになったのだ。数日が経って、最後の日に、サイラスが夜会に呼ばれて出かけると告げる。聞けば、コーデリア・レイヴァースの誕生日会とのこと。向こうが覚えているかはわからないが、顔を見たい気持ちがあった。サイラスはテリオンがコーデリアと顔見知りらしいことを口振りから察して、一緒に行こうか、と誘う。テリオンは断ったが、サイラスは招待状を置いて、先に出かけた。「私の招待状も忘れず持ってきてくれ」ギリギリで追いつき、レイヴァース家に入るテリオン。サイラスから参加者や調度品について聞きながらコーデリアの登場を待つ。人前でこそ視線を交わすだけに留まったが、サイラスとヒースコートのはからいで、再会することができた。少しの間話をして、別れる。サイラスの元へ戻ると「考えは変わらないかい?」と訊かれて、瞬間的に怒りを覚えるテリオン。その時、広間の方でガラスの割れる音、悲鳴が響く。戻れば、コーデリアの誕生日のために公開されていた宝石の一つが盗まれるところだった。盗みに押し入ったのは誰か?──ダリウスだ。彼は群衆の中にテリオンを見つけて、名指しで嘲る。道連れだと言わんばかりに。サイラスが庇おうとするのを制して、テリオンはダリウスの後を追って屋敷を後にした。「仕事がないという話だっただろ」「そうだったか? ああ、そういうことにしたんだったな」「お前は俺と違って金もあるんだ、少し休んだくらいで困りゃしねえんだろ」「金持ちの道楽は楽しかったか?俺を見下して腹ん中で笑ってたんだろ」どうやら、ダリウスは、テリオンがサイラスに呼び止められたとき、近くを通りがかったらしい。テリオンに対する嫉妬や憎悪を拗らせていたダリウスは、サイラスのことを調べ上げ、テリオンがオルブライト家に引き取られていたことを知る。裏切られたのだと思い、いや、そうじゃない、先に自分が裏切ってやるのだと強く願い、今回の騒動を起こしたという。テリオンに関わった者たちもすべて道連れだ、と言い残してダリウスは去る。テリオンはほとぼりが冷めるまで顔を見せない方がいいだろうと判断し、少しの間潜伏することにする。その前に、一度だけサイラスに告げておこうとオルブライトの家に向かうが、マスコミや警察が押し寄せているのを見て躊躇う。裏路地に引き込まれて、驚いてやり返したところ、相手はサイラスだった。痛い……とぼやきながら、サイラスはテリオンにおかえりと言い、それから、これからどうしたいかを訊ねる。「警察に突き出さないのか?あの男みたいに」「キミが自ら進んで悪事を働き、周りの人間に被害を及ぼすと言うならそうするさ。しかし、ここ数日話したキミと、コーデリア嬢の話と、あの場面での盗賊の話を踏まえると、キミは臨んで悪事に手を染めたようには聞こえなくてね」だから、キミのことを教えてくれないか、と彼は言う。この期に及んで。「教えるつもりはない。……確かにあの男に言われるままに始めたことだが、今はこれも悪くないと思ってる。悪人と変わらないさ」だから警察でもなんでも突き出せよ、と言うと、サイラスは少し考える素振りを見せたあと、財布と携帯を渡してくる。「今日、キミの返事に関わらず渡そうと思っていたんだ。財布は私が今持っていた現金とカードを一枚入れている。空は飛べなくとも、タクシーなりで遠くへ行くことは可能だろう。もし住居に困ったら、その端末に入っている私の連絡先にメールを送ってくれ。こちらで手配をするから」「なんでだ」どうしてそこまでする?と訊かれて、彼は、静かに笑む。「キミが私に少しでも恩を感じたなら、その時返しに来てくれたらいい」家族だから、とは言わなかった。そこにサイラスの本心があるように思えて、助かる、と一言だけ告げて立ち去る。──数年後、レイヴァース家に再び宝石が戻ってきた、というニュースが流れる。コーデリア・レイヴァースが十八の誕生日を迎えるその日、会場が一瞬だけ暗闇に沈み、再び光が戻ったその時、4種の宝石が揃って輝いたのだという。電子の新聞記事でそれを読んだサイラスは、ふ、と口元に笑みを浮かべて、メールを起動する。送信すると、数秒後、それは宛先不明のエラーとなって返ってきた。……っていう話があってからの、再会したテリオンさんがサイラスに恩があるからって言って上がり込んで、サイラスがコデちゃんとの仲を取り持とうとしてくることに苛立ってるうちになるほどどうやらこの男のそばのほうがいいらしい……とテリオンさんが自覚して、っていうテリサイ!!相変わらずテリサイじゃないところの話が長すぎました。読んだ 2022/11/06(Sun) 16:14:07 盗学
義兄弟×現代パラレルな盗賊×学者のネタメモ
流石にこれはお話書くかわからないので……(テリサイじゃないところが長すぎるのとメモ書いたら満足しそうなので)
……
両親の顔は覚えていない。気付けば孤児院にいて、気付けば里親が見つかっていた。
「この子は手先が器用でして」
レイヴァースという名の遠い親戚の家に行くたび、男はそう言ってテリオンを紹介した。その家には二人の子供がいて、一人は寮に入っていて顔を見せなかったが、もう一人は母親に連れられてよくパーティに顔を出していた。名前を、コーデリアという。
おそらく、その男はレイヴァースに取り入りたくてあの手この手を使っていたのだろう。テリオンが物心つく頃には既に悪事と呼ばれる類には手を付けてしまっていて、幼心に反発したが、大の男に敵うはずもなく、また、仄暗い楽しさに魅入られて、結局十二の年まで人に言えないことをしながら生きた。
男の再婚は、この年に行われた。相手は、オルブライトというそれなりに名の知れた家の女だった。
反抗期が始まっていたテリオンは、男が再婚したと告げる前からその女について知っていた。というか、テリオンに仕事を命じるより女の相手をしたほうがよほど有意義だと思ったらしく、男からの依頼も虐待も減ったことで、時間ができたのである。
どうやら、男は女にテリオンのことは告げていないらしい。話を聞いた翌日、がらんとした部屋に「好きに生きろ」とメモ書きが残されていた。
別に、テリオンはそれで構わなかった。男が目指していたのは貴族だかなんだか知らないが、とにかく金も地位も権力もある身分だった。テリオンにはそれがどうにも窮屈に見えたから、置いていかれたことへの不満はなかった。ただ、男に連れられてパーティに出かける度、相手をしていたコーデリアのことだけは、ほんの少しだけ未練がなくもなかった。
「誰に許可取って荒らしてんだ、お前」
男の手を離れたことで、テリオンは盗みに出かける範囲を広げていた。その最中、ダリウスという少年に出会った。第一声はやや威圧的なものだったが、二言目にはテリオンの盗みの腕を褒め、数日後には同じ場所で落ち合い共に盗みをするほどの仲となった。
ダリウスとの盗みに楽しさと居心地の良さを覚え始めた頃(数年経過)、テリオンは街ですれ違った青年に声をかけられる。
「話を聞けば、息子がひとり居るというから迎えに来たんだ」
すれ違った女が足を止めて振り返る。それほどに目を引く顔立ちと柔らかな声音の青年は、テリオンが逃げても翌日また顔を見せに来た。
「キミの父親と私の母が結婚して、キミと私は戸籍上の兄弟となった」
「ただ、一つ、謝らなくてはならないことがある。キミのお父さんは悪事を働いていたようでね、母の手で警察に突き出されたんだ。有罪は免れないし、おそらく十年そこらは外に出られないだろう。私がキミを連れて行こうとしているのは、そういう理由からなんだ」
男に用はない。が、男と離婚しても、テリオンはオルブライト家に引き取られるという。教育熱心な家庭らしい。
「放っておけよ。今更、まともな生活に戻るつもりはない」
「それこそ、私の家まで来てもらいたいところだ。面白いものを見せてあげよう」
青年と出会って、半年が過ぎようとしていた。ダリウスと微妙な仲になりつつあったテリオンは、盗みの仕事がないことを言い訳に、仕方なく、オルブライト家に向かうことにする。
オルブライトの母親は、検事のようだった。職業病と言うべきか、新聞で見かけるような事件までプロファイルするくせがあるらしく、その青年もまた母親に似て謎めいた事件や出来事にはつい首を突っ込んで調べてしまうのだという。
テリオンを見つけたのも、母のプロファイルと、青年の探索能力による、と。
「キミが自由に生きることは制限しない。が、知っておくと回避できることは世の中にたくさん溢れている。数日、ここで過ごして、キミの生活に役立つことを増やしてみないか?」
青年はそれを知識と呼び、知識は誰にも盗まれず、盗まれたところで誰の役にも立ち、自分の身を守るからと強く訴えた。あまりの気迫と、どちらかというと話し相手が欲しそうな雰囲気に、コーデリアに感じた放っておけなさを覚えて、しぶしぶ、頷く。
「ところで、……あんたの名前はなんだったか」
「サイラスだ。サイラス・オルブライト」
こうして、数日だけ、義兄弟とかいうサイラスと二人で過ごすことになったのだ。
数日が経って、最後の日に、サイラスが夜会に呼ばれて出かけると告げる。聞けば、コーデリア・レイヴァースの誕生日会とのこと。向こうが覚えているかはわからないが、顔を見たい気持ちがあった。サイラスはテリオンがコーデリアと顔見知りらしいことを口振りから察して、一緒に行こうか、と誘う。
テリオンは断ったが、サイラスは招待状を置いて、先に出かけた。
「私の招待状も忘れず持ってきてくれ」
ギリギリで追いつき、レイヴァース家に入るテリオン。サイラスから参加者や調度品について聞きながらコーデリアの登場を待つ。
人前でこそ視線を交わすだけに留まったが、サイラスとヒースコートのはからいで、再会することができた。少しの間話をして、別れる。
サイラスの元へ戻ると「考えは変わらないかい?」と訊かれて、瞬間的に怒りを覚えるテリオン。
その時、広間の方でガラスの割れる音、悲鳴が響く。
戻れば、コーデリアの誕生日のために公開されていた宝石の一つが盗まれるところだった。盗みに押し入ったのは誰か?──ダリウスだ。
彼は群衆の中にテリオンを見つけて、名指しで嘲る。道連れだと言わんばかりに。
サイラスが庇おうとするのを制して、テリオンはダリウスの後を追って屋敷を後にした。
「仕事がないという話だっただろ」
「そうだったか? ああ、そういうことにしたんだったな」
「お前は俺と違って金もあるんだ、少し休んだくらいで困りゃしねえんだろ」
「金持ちの道楽は楽しかったか?俺を見下して腹ん中で笑ってたんだろ」
どうやら、ダリウスは、テリオンがサイラスに呼び止められたとき、近くを通りがかったらしい。
テリオンに対する嫉妬や憎悪を拗らせていたダリウスは、サイラスのことを調べ上げ、テリオンがオルブライト家に引き取られていたことを知る。裏切られたのだと思い、いや、そうじゃない、先に自分が裏切ってやるのだと強く願い、今回の騒動を起こしたという。
テリオンに関わった者たちもすべて道連れだ、と言い残してダリウスは去る。テリオンはほとぼりが冷めるまで顔を見せない方がいいだろうと判断し、少しの間潜伏することにする。
その前に、一度だけサイラスに告げておこうとオルブライトの家に向かうが、マスコミや警察が押し寄せているのを見て躊躇う。
裏路地に引き込まれて、驚いてやり返したところ、相手はサイラスだった。痛い……とぼやきながら、サイラスはテリオンにおかえりと言い、それから、これからどうしたいかを訊ねる。
「警察に突き出さないのか?あの男みたいに」
「キミが自ら進んで悪事を働き、周りの人間に被害を及ぼすと言うならそうするさ。しかし、ここ数日話したキミと、コーデリア嬢の話と、あの場面での盗賊の話を踏まえると、キミは臨んで悪事に手を染めたようには聞こえなくてね」
だから、キミのことを教えてくれないか、と彼は言う。この期に及んで。
「教えるつもりはない。……確かにあの男に言われるままに始めたことだが、今はこれも悪くないと思ってる。悪人と変わらないさ」
だから警察でもなんでも突き出せよ、と言うと、サイラスは少し考える素振りを見せたあと、財布と携帯を渡してくる。
「今日、キミの返事に関わらず渡そうと思っていたんだ。財布は私が今持っていた現金とカードを一枚入れている。空は飛べなくとも、タクシーなりで遠くへ行くことは可能だろう。もし住居に困ったら、その端末に入っている私の連絡先にメールを送ってくれ。こちらで手配をするから」
「なんでだ」
どうしてそこまでする?と訊かれて、彼は、静かに笑む。
「キミが私に少しでも恩を感じたなら、その時返しに来てくれたらいい」
家族だから、とは言わなかった。そこにサイラスの本心があるように思えて、助かる、と一言だけ告げて立ち去る。
──数年後、レイヴァース家に再び宝石が戻ってきた、というニュースが流れる。コーデリア・レイヴァースが十八の誕生日を迎えるその日、会場が一瞬だけ暗闇に沈み、再び光が戻ったその時、4種の宝石が揃って輝いたのだという。
電子の新聞記事でそれを読んだサイラスは、ふ、と口元に笑みを浮かべて、メールを起動する。
送信すると、数秒後、それは宛先不明のエラーとなって返ってきた。
……
っていう話があってからの、再会したテリオンさんがサイラスに恩があるからって言って上がり込んで、サイラスがコデちゃんとの仲を取り持とうとしてくることに苛立ってるうちになるほどどうやらこの男のそばのほうがいいらしい……とテリオンさんが自覚して、っていうテリサイ!!相変わらずテリサイじゃないところの話が長すぎました。
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