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BONNO!
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ヒカ・キャス・テメに対する煩悩かべうち

カテゴリ「小説」に属する投稿51件]

#雨に花束関連
テメノスとキャスティがキャッキャしてる気がする。ヒカくんがほのぼの年長者三人を見守っています。オズバルドが尻叩き役。
ヒカリ視点、神官ギルド〜モンテワイズまでの道のりのお話を読む

ヒカくんとテメノスがキャスティの神官衣装を見て褒める話は別で描く。

小説

#テメキャス
#テメキャス「子守唄」
タイトル:Sing me a lullaby
踊子キャスが子守唄を歌っておやすみという部分だけをピックアップしたテメノスとのお話。

長文だと編集結果が一部反映されないみたいなので、べったちゃんにしました。
「Sing me a lullaby」を読む

書けば書くほど好みな感じの告白シーンやら何やらが描写できるようになってきた気がします。(気の所為)っていうかまた別世界線生えましたね。いくらでも生やすよ。誰かにとっての入口になる世界線があれば嬉しいです。

コンビ版はまた別で書きます。

あとがき的なやつ。

テメノス視点も合ったほうがいいなあと思うんですが。それは漫画のほうが描きやすそうだなあと今は思ってます。だから描くの遅いかも。

それはさておき、今回のテメノスの返答や対応はなかなかいい感じではありませんかね!?
最初にかなりグイグイ(キャスティに)迫る感じで描写してきましたので、冷静になって(?)書いてみました。まじで何も手を出さない男だと思ってますよ僕は……。
まあ、その時になったら手を出すと思いますけど。頼むぞ。
多分この世界線ならキャスが「安全日なの♡」って誘っても「そういうことを人前で言わないでください」って言うし、ふーんそうなんですか、へえーみたいな感じでねちっこいキスしておいて手を出さないみたいなことしそうだなって……おもう。
あまりやりすぎるとキャスが逃げそうなので塩梅には気をつけてもらいたいですね。それとも逃げられる前にちゃんと引き止められるのかな……?
無理やりとかないだろうから余計にこう……こじれようと思えばこじれるのでは?みたいな気持ちになってくる〜……。まあえっちなことしたいって言われたら日取りまで決めてちゃんとしそうな気もするので、キャスには頑張っていただいて……。でもあまりにそれが重なるから、自分だけが好きなのかも、と思ってソローネに「テメノスって私のこと好きだと思う?」って相談しそうだし、そんな不安にさせるような男はやめといたらって言っておいたから、態度を改めたほうがいいよってソローネに釘を差されるテメノスいてほしい。
なんでそんなことに……??(好きと言い続けてるのに?)なテメノスと恋に振り回されまくるキャス〜!

でもテメノスの前だと不安とかそういうのは見せないキャス。
誘いたいけど諦めるとか……ありそう。
だからテメノスから誘われてめちゃくちゃ嬉しくて準備までしっかりするのに、その夜遅刻されてシュン……となって、で、つい、「あなたから誘われたのが嬉しくて、はしゃいじゃったの。大丈夫、今日はもう寝ましょう」って言っちゃうし、テメノスには「諦めて一緒に夜更かししてください」って言ってほしい。
ちゃんと泣かれても離さないほどには愛していただきたい〜!
みたいな願望が芽生えました。
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小説

#テメキャス成人向け
#進捗
プロット代わりの小説書けた。
⚠️成人済/18overの方のみ閲覧可能⚠️
我ながら理想の形で書けたと思います(数日しか味わえない達成感)。これを漫画にするのは、私が小説だと喘ぎ声あんまり入れたくなかったり息遣いの描写についてあれこれ思うところがあったりするためなので、頑張ります。

てことで、ネタバレにはなりますが、漫画になるまで時間がかかると思うので、先に読みたい人はよかったらどうぞ。
これは後にビューワー形式でも公開予定です。

パスはリンク先で入力してください。
テメキャス/災い転じて〜のカット部分(初夜)を読む

作者的コメント:
この話めちゃくちゃ好きかもなあというのは、お互いにそのつもりのなかったところからしこりのようにひずみが残って、それが最終的に相互を求める形なのでは?と同じ結論に至った物語の流れと、キャスがそれまで頭を悩ませていた分テメの思いを受け取る構図になってるという私好みの展開だからかなーと思います。テメが思いを注ぐ形なのもすごく好きです。受け止めてほしい、と、受け止めたい、がかち合うのって素敵ですよね。

すごいどうでもいい余談。
慣れてるキャスならこうはいかないので、そのうち慣れてるキャス世界線もたくさん書き始めると思っています。慣れてるキャスをテメが落とせるのか分かりませんが……がんばってくれ。
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小説

#コンビ以上カプ未満
#一房のブドウ関連
タイトル:一房のブドウ

テメ主人公でキャス拾ってからの二人のアレソレ書くの楽しそうだなーと思ったので。回想スタイル。


治療のお礼にって沢山渡されたから、お裾分けにきたのよ」
籠布を取り上げ、彼女が見せたのは紫や黄緑のぶどうだ。そのうちひと粒をちぎり、テメノスに差し出す。
「大量ですね。子供たちに分けてあげても構いませんか?」
「ええ、勿論。そのつもりで持ってきたもの」
瑞々しいそのひと粒を目で楽しんだあと、一口かじる。甘く、爽やかで、酸味も少なく、子供たちも気にいるだろう。
「残ったら、ジャムにしましょうね。キッチンを貸してもらえる?」
「どうぞ。好きに使ってください」
「助かるわ」
ただ、共に長く旅をしただけではあるが、家を自由に貸しても良いと思うほどには親しみがある。相手がソローネであってもアグネアでも、オーシュットであってもそれは変わらない。
「楽しい夜になりそうですね」
「あら、今日はいつになく素直じゃない」
「久しぶりに顔を合わせた友人に、素気ない反応をするほど子どもではありませんので」
軽やかな笑い声が懐かしい。久しく聞いていなかった、茶器のこすれ合う音に耳を澄ませて、テメノスはもう一粒ぶどうを摘むことにした。

という始まりで。どうだろうか!いいと思う!
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小説

#テメキャス
#テメキャス「災い転じて」
ひとまず小説で。漫画で描く前にイメージ出力するかあ……と思い、続きを書いた。

⚠️R15,不健全シーン描写⚠️



きっと彼はどんなに犠牲を払ってでも、その犠牲以上の対価を得るのだろう。
そんなふうに思っていたのは、いつのことだったろうか──そうだ。カルディナ戦前の、ティータイムのことだ。
「……泣いているんです?」
長い口付けから解放されて目を開けると、月明かりの中、困ったように眉間にシワを寄せ、テメノスがこちらを見下ろしていた。実際、室内が明るいのは月ではなく都会の灯りのためであったが、彼の柔らかな銀髪がぼんやりと光に照らされ美しかったので、つい、夢を見た。
「泣いてないわ。……嬉しいだけ」
「光栄ですね」
彼の顔の形をなぞるように顎に触れたのに、顔を近付けられて、指先が離れる。代わりに顎の下、首筋といっても差し支えない薄い皮膚に痛みが走り、キャスティは思わず悲鳴を飲み込んだ。
「……なに、今の」
「知りませんか? 明日の朝、鏡で見てみてください」
テメノスの肩からずり落ちた片腕を掴まれ、もう一度首に腕を回せと仕草で命じられる。ケープの留め具が外されて、緊張から、喉の渇きを覚えた。
背中の方から抱き寄せられ、胸元のボタンを外される。手伝おうかと訊ねると不要だと首を振られた。
「ねえ……こういったことには慣れてないのだけど、大丈夫かしら」
「大丈夫とは? 何を心配しています?」
ボタンが外され、下着と肌が見えたところで、彼の首元に目が行った。ここで彼の服も脱がせて良いのだろうか。なんらかの手順が、決まり事が、あるのだろうか。
「……できるのか、心配というか。でも、まずは、そうね、あなたの服も脱がせて良いのか知りたいわ」
「あなたの好きなように。どうぞ?」
促されるままに、カソックの留め具を外す。
下に着ていたシャツが見えたところでテメノスも手を動かし、自ら前を開いた。
「触ってみてください。不安があれば、都度言ってもらえると助かります」
「分かった」
手を掴まれ、胸元へ引き寄せられたのでそのまま鎖骨に触れてみる。心臓の方へと指先を滑らせ、腹部へ。
「……不思議な感じ」
「そうですか?」
「ええ。だって、治療するときに何度も見ているはずなのに──」
そう、男性的な身体の凹凸に思うことなどなかったはずだ。それなのに今は妙に胸の鼓動が早い。
「緊張するわ」
言いながら、どうにも触れていられなくて手を離した。テメノスが咳払いをした。
「……そういえば、先程できるのか不安だと言っていましたね」
「? ええ」
緩やかな手つきで触れたかと思うと、上の服を脱がされた。言われるままに腰を上げる。
スカートの留め具を外すために抱き寄せられた時は、流石に緊張した。身体の大きさや造りの違いを自覚した後であったから、細身であっても男性なのだと──今からこの人に抱かれるのだと身体の方が覚悟をしたのである。
身に付けているのは下着とタイツのみとなった。不格好さを気にする間もなく、テメノスはキャスティの胸元に頭を寄せ、タイツの内側に指を差し入れた。
「……私はできると思いますよ。ですが、今夜である必要はありませんし、無理にとは言いません」
肌を撫でるようにずりおろしていきながら、彼は大きく息を吸い、笑う。首元近くであったので、呼気がくすぐったくて身を竦める。
「まあ、あなたが受け入れてくれることを願います」
「それって……」
ベッドに押し倒される。慎重な手付きでタイツを脱がされていたわけだが、折り曲げた身体の、最も敏感な場所に硬いものを押し付けられて反射的に腰が逃げてしまった。
「──改めて言葉にする必要はないでしょう」
靴が床へ落ちる。窓から差し込む光が彼の腕に遮られ、頬に柔らかな髪の毛先が触れたところでキャスティは大人しく目を閉じた。



これ以降の部分を付け足した、本タグシリーズのまとめは成人向け&別ページになります。

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小説

#ヒカキャス
#ヒカキャス短い話

アグちゃんとヒカくんでは何も始まらないためソロちゃんが入り、やっと始まるヒカキャス……みたいなやつ。



終わったのか?」
キャスティが患者の家から出ると、壁から背を離したヒカリが声を掛けてきた。
「待っててくれたの? 随分と待たせたでしょう、ごめんなさいね」
「そうでもない。それに、ここからもアグネアの舞台はよく見えた」
「あっ……! そうだったわ。今日だったのに、私ったら……」
酒場の方へ共に向かいながら、キャスティは自らの過ちを悔やむ。
ここカナルブラインでは、港祭りが開かれており、連日踊子や吟遊詩人を舞台に立たせて盛り上がっていた。アグネアもまた無事舞台に上がる権利を勝ち得、まさに今夜美しい歌と踊りを披露することになっていたわけだが……どうやらキャスティは急病の患者の対応に追われ、その時を見逃してしまったらしい。
「そなたも知る通りだ。見事な舞だった」
「そうよね。アグネアちゃんだもの……」
何気なく返答してから、ふと、気付く。
ヒカリとはこんなふうにアグネアの話をすることが多い。それも、キャスティではなくヒカリから話題を振ってくるのがほとんどだ。
(もしかして……私って二人の邪魔をしちゃってるのかしら)
「キャスティ? どうした。もう酒場に着くが……」
「ううん、大丈夫よ」
ヒカリに問われ、咄嗟に首を振り、そのまま皆と合流した。

パルテティオとソローネと酒を酌み交わす。オーシュットやテメノスと料理を分け合いながら談笑し、コーヒーを頼むというオズバルドに続いて紅茶を注文しにテーブルを離れたとき、何気なく仲間達を振り返って、思ってしまった。
オーシュットはテメノスとよく話すので、必然的にヒカリとアグネア、ソローネとパルテティオの四人で会話をする。そうなれば年の近い者同士で距離が近くなるもので──有り体に言えば、ヒカリもアグネアも楽しそうに談笑していた。
今日のようなことはこれまでに何度もあった。
その度にヒカリがアグネアの姿を近くで見られないなんて……そんなこと、あっていいはずがないだろう。
「持てるのか?」
「大丈夫よ」
人数分の紅茶をトレイに載せ、オズバルドと並んでテーブルへ戻る。
頃合いを見て、伝えよう。酒で程よく血の巡りが良くなった頭でキャスティはそんな決意をした。

---

それから時間は数カ月流れ。
モンテワイズの酒場で、ヒカリはキャスティ達の帰りを待っていた。
「どうしたの? ヒカリくん。難しい顔だね」
「ああ。少し……考え事をな」
「王様だもんね。考えること、たくさんあるよね」
働いていた分慣れているのか、アグネアはパルテティオに次いで酒場の客達とよく話す。彼女は酒を飲まないので、ヒカリも酒を頼まず、果実水を頼んだ。
「……キャスティのことを考えていた」
「えっ……! そ、それって……どういう……?」
アグネアはキャスティと同じく、親身になって話を聞いてくれる人間だ。彼女の舞が人を励ますのも、キャスティがよく踊子を担うのも、それ故だと解釈しているヒカリは、アグネアへの信頼から、頭を悩ませていることについてそのまま口にした。
「俺は望んで彼女について行っているのに、無理はするなと言われてしまってな……」
「あ~……キャスティさん、そういうところあるよね」
「この前は『アグネアの舞台を見たいなら、行ってもらって構わない』と言われてな。場所を移動せずとも見られたし、そのときは人助けを優先したわけだが、後になって謝られた」
「そ、そうなんだ……? なんでだろう」
果実水で唇を湿らせながら、二人して首をひねる。アグネアもなぜキャスティがそのような発言をするのか理由が推測しづらいようで、酒場に入ってきたソローネを見るや、片手を上げて呼び寄せた。
「ソローネさんなら分かるかも!」
確かに同じ女性に聞く方が理由がわかるかもしれないと、アグネアに言われるままに同じことを語ったところ、ソローネからはいくつか質問を受けた。
キャスティに行った言葉と、状況とを聞きたいのだろうと答えたわけだが、ソローネは大きなため息をついた後、ヒカリを見つめてこう言った。
「そんなに気になるなら、次はヒカリの思っていることをそのまま言えばいいよ」
キャスティには既に伝えていると言い返したが、何度でも伝えると良いと言われたので、そうかと頷いた。
ともかく自分は迷惑など思っておらず、何の制限も、遠慮もしていないと伝えることが大事なのだろう。ヒカリはソローネのアドバイスをそう受け止め、キャスティ達が戻るのを待った。
──そして、その時が来た。酒場からの帰り道にいつものようにキャスティの隣に並んで、ヒカリは彼女と雑談をしていたわけだが、彼女がおもむろに「アグネアちゃんと話さなくていいの?」と聞いてきたのだ。
「……何度かそなたからそのような提案を受けているが、話すこともないのに何故話しに行くんだ?」
「それを言われると、返答しにくいわね。……まあ、話すことがないなら、いいのかしらね」
どことなく曖昧な言い方だった。
ヒカリはキャスティに言い聞かせるよう、普段よりもゆっくりと、落ち着いた声音で告げる。
「俺はそなたと話をしていたいから隣にいる」
「あら、そうなの? 嬉しいわ、ありがとう」
「……キャスティ」
年の功だろうか。真剣ではあるだろうが、真面目に聞き分けたとは思えない返答だったので、ヒカリはもう少しはっきりと言葉にした。
「俺は俺の意思でそなたの隣を選び、そばにいると決めた。そこにそなたへの気遣いはあれど、遠慮や世辞はない」
「え? ええ……分かったわ」
キャスティは圧されるままに頷き、しかし、ややあって考えるような仕草を見せ、真剣な面持ちで、小声で訪ねてきた。
「……ヒカリくんって、誰かに片想いをしているわけではない……のかしら?」
密やかな声だったから、なのか、それとも別の理由からか。ヒカリは咄嗟に足を止め、キャスティを見た。


ここからヒカくんのターン!という感じで……?
なんかそういう誤解から始まる話を読みたくなりました。
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小説

#ヒカキャス
#ヒカキャス長い話

第二話的な。
キャスがテメとアグちゃんとよく話し、その後ヒカとキャス二人きりでお話しています。




誰かを思うことは素敵なことだ。
誰かを助けたいと思う自分だから、そう思うのかもしれない。
これは、何かをしてあげたい、なんて献身的な思想ではないのだ。
誰かを笑顔にできたら。のびやかに生きていけるのなら、それがいいと自分が思うだけ。
治療者は自分までもを駒のように俯瞰する。そうすれば自分が何をすれば明確になるから、自分の感情や思いは踏み出す一歩のエネルギーにしか使わない。
だから時々、自分に立ち返ったとき──自分の気持ちや考えで頭が一杯になってしまうと、どうして良いのか分からなくなる時がある。
「休む時間なのでは?」
治療記録や旅の記録を書き留め、身体を伸ばしがてら甲板に出ると、からかうように声が掛けられた。
「……そういうあなたもでしょう?」
「私は小腹が空いてしまったので」
正当な理由があると言ってテメノスはすまし顔をしたが、キャスティはこの時間まで彼が何をしていたのか知っていた。ソローネとパルテティオに酒に誘われていたのだ。酔いを覚ましがてら抜けて来たのだろう。
食堂兼団らん室からはアグネアとパルテティオの楽しげな笑い声が響いている。
「まあ、どちらでもいいわ。夜更かしはだめよ」
「やれやれ。あなたの前では私まで子供にされてしまいますね」
「ふふっ……」
「なんです?」
「子供の頃のあなたを想像してしまったの。背だけ小さくしてね」
呆れたように肩を竦めるので、ごめんなさい、と口先だけで謝る。
「お酒、私の分も残ってる?」
倉庫へ向かうテメノスの背中に呼びかける。乾物は場所を取るので倉庫の片隅にまとめている。中に入ったテメノスは、少ししてから両腕にいくらかの布袋を抱えて出てきた。
「ありますよ。なんなら私の分も差し上げます」
そのうちの二つを拾い上げ、荷物持ちを分担する。
「残念。あなたとお酒を飲もうと思ったのに」
「……遠回しに面倒を見ろと言ってます?」
「あら、どうして?」
「いえ……」
明るい銀髪を今だけは星空の色に染めた彼は、ややあって苦笑した。
「いいですよ。一緒に飲みましょうか」

キャスティは仲間の女性達の中で一番年上だ。それは記憶を取り戻す前からなんとなく察していたことでもあるし、記憶を取り戻してからも自分の年齢について深く意識したことはない。
鈍いのだろうと思う。何かをしたいと思う気持ちが強いから、自分がどうであるかなんて、制限にさえならなければ何歳でも関係ない。
ただ、話しやすさだとか、関わりやすさにはそういった部分が影響しているような気がする。子供たちから見れば年の離れた女性であり、初老の者から見れば若い女性と括られる。
自分はどうだろう。テメノスには話しやすいと感じる。年の近さゆえか、感覚的なところが言語化せずとも伝わるような、そんな錯覚をよくするのだ。一方で、オズバルドやパルテティオにも話しやすさを感じるし、ソローネ、アグネア、オーシュットは同性であるからそもそも話しやすい。
ヒカリは、どうだったろうか。
話しかけたのはキャスティだったが、その時は彼の傷を心配していただけなので覚えていない。
「キャスティさん、そろそろ眠くなってきた?」
「ううん、少し考え事をしていたの。ありがとう、アグネアちゃん」
グラスはすでに空だ。隣のテメノスはソローネ、パルテティオと談笑している。
スターになるためにと旅の資金を稼ぎ、ようやく旅に出て、ついこの間トロップホップで夜のひとときを盛り上げた。アグネアのたゆまぬ努力と舞台の上での輝きは仲間なら誰もが理解していて、年の近いヒカリも真っ直ぐに褒めていた記憶がある。
「……アグネアちゃんって、誰かを気になったことってある?」
「えっ?」
女性としての魅力をどこに感じるかは、人それぞれだ。それでもキャスティは仲間の中で自分が一番そういった話から縁遠いと思っている。化粧は肌に悩む女性のため、スカートを履くのは何かの折に端を切れば当て布にできるからで、髪の毛だって邪魔にならなければいいと思ってまとめているだけだ。
「え、ええ……うーん、あんまり考えたことなかったべ……」
「あら、そうなの? でもアグネアちゃんならすぐにいろんな人から声を掛けられるわよ。デートに行こう、一緒にお茶でもしよう、……色々言われるから覚悟しておかないと」
「そ、そうなんだべ……?!」
「なになに、何の話?」
ソローネがアグネアの様子に興味を持ったか、グラスを掲げて話に割り込む。パルテティオとテメノスも含め、話が膨らむ。
「じゃあさ、キャスティもそうやって言われたことがある?」
「さあ……治療のお礼にって言われたことはあったかしらね」
皆が皆、揃って視線を逸らすので気になった。が、何気なく壁の時計を見て、キャスティはあっと立ち上がる。
夜の航行は危険が伴うので船は錨を下ろして停泊する。しかしそうなると魔物の脅威に晒されることになるため、船夫達とは別で交代で見張りをすることにしていた。
いくら温暖な海でも、夜風を浴びていると身体が冷える。
だからキャスティは就寝時間の前に見張りをする仲間たちへ温かい紅茶を差し入れることにしていた。
その時間が、まさに迫っていたのだ。
「今夜の見張りって誰だ?」
「ヒカリだよ」
仲間達の会話を何気ない素振りで聞き流し、紅茶の準備をする。
「キャスティさん。私も手伝います!」
「ありがとう」
アグネアと並んで誰かのために準備をする。そういったことはこれまでにも何度かあった。もちろん、彼女が怪我をしないよう気をつけながらだ。
「アグネアちゃん、そこの袋を取ってもらえる?」
「はーい。これだね」
紙袋を受け取り、ナッツにチーズ、薄くスライスしたパンを追加する。本当なら彼の故郷の食事も作って上げたいところだが、東ではコメの入手が難しいので諦めた。
「ヒカリくんは見張りの時も鍛錬をしがちだから、栄養補給をと思って」
うんうんと頷くアグネアを見ていて、ふと、彼女に頼めばいいのではと考えが過った。年が近く、仲は良い。今はそう見ていないだけで、この先彼女が恋をする相手がヒカリになる可能性だってある。
なんて、そんなふうに思うのはお節介が過ぎるだろう。
人の心は移ろうものだし、相性だってある。仲間だからといって、結ばれたら幸せになれるとは限らない。
紅茶を水筒とカップに注ぎ、皆にも振る舞う。
「ありがとう。行ってくるわね」
「うん。いってらっしゃーい」
(ごめんね、変なことを考えて)
心の中で謝罪を唱えて、差し入れを手にキャスティはヒカリの立つ見張り台へと向かった。


夜の見張りは退屈だとソローネは言う。
だが、ヒカリは良い時間だと思う。鍛錬もできるし夜の凪いだ海の音は存外、耳に心地よい。
見渡す限り砂塵ばかりの国で育ったからか、水の音が聞こえるだけで身体が潤う気さえするのだ。
「──」
人の声を聞きつけ、ヒカリは素振りを止めた。
下方を見れば、角灯を片手に誰かが話をしている。
(……キャスティと、テメノスか)
端々に聞こえた声の高さから男女二人組だと分かり、角灯の照らす色と影の形から相手を推測した。
間もなく一人が離れ、部屋へと戻っていく。眠るのだろう。
もう一人はさらにヒカリの居る見張り台に近付く。
コンコンと柱を叩く音がしたので、梯子の方へ顔を出した。
「どうした」
「温かい飲み物と、差し入れよ。引き上げてもらえる?」
「ああ、助かる。いま……、」
荷籠を上げ下げできるよう縄の仕掛けが作られており、これを使ってキャスティは見張り番へ差し入れをしていた。いつものことだと知っていたから縄を下ろそうと手に取ったわけだが、ヒカリは不意に手を止め、呼び掛けた。
「そなたも来ないか。……少しだけでいいから」
キャスティの反応を伺う前に縄を下ろす。
返答がなんであれ、ヒカリは縄を引き上げるだけだ。キャスティが縄に水筒や紙袋をくくりつけたので、縄を引く。
「ありがとう」
「どういたしまして」
思うより近い場所から声が響いて、驚いた。
見張り台は大きな帆を支える柱の中腹にあり、一人二人座ることのできる広さがある。
そこに二人肩を並べて座り、ヒカリはキャスティから差し出されるままに水筒を受け取った。ちょうど喉が渇いていたので紅茶を飲み、紙袋を受け取る。
「もう休む時間だろう。引き止めて悪かった」
「いいのよ。まだ起きていたい気分だったから」
彼女からは仄かに酒気を感じた。それでテメノスか。
「飲んだのか。知らずに呼び付けてすまなかった」
「いいのよ。一杯しか飲んでないもの。それに、少し熱を冷ましたかったから」
「……顔色は特に変わっては見えないが」
「そうかもしれないわね」
角灯に照らされたキャスティの頬は、暖色を帯びていて、赤らんでいるのかどうかは分からない。ヒカリは何気なく見つめたつもりだったが、キャスティは片手の手袋を外すとヒカリの頬に手を伸ばした。
「ほら、あったかいでしょう?」
確かに彼女の手のひらは温かかった。
「……そうだな」
彼女の方から触れてくれたことを喜びたくて、ヒカリも思わずその手に触れていた。ようやく迂闊な行動を取ったと気付いたのか、キャスティが腕を引くので、軽く握り締めてから離す。
「酒を飲むと、隙が増えるのだな」
「さあ、どうかしらね」
ヒカリに握られた手を庇うように隠す、その仕草が彼女らしからぬものに思えて、ふ、と笑う。
「ヒカリくんは飲まないでしょう? 確かめようがないわよ」
「ク国を取り戻した暁には、流石の俺も酒は解禁する。カザンも飲みたがるだろうからな」
「……ふふ、そんな時でも仲間のことを思うのね。あなたは」
余裕を取り戻したらしいキャスティが、柔らかに微笑み、空を見上げた。それからおもむろに角灯の火を消す。
「どうした?」
「見て」
言われるままに見上げた空には月が浮かんでいた。
「二人で旅をしていたときのこと、覚えている?」
リューの宿場町からウィンターランドでオズバルドと出会うまでであるから、ひと月は二人で居ただろうか。覚えている。
「私、記憶を失ってはじめて頼った人が、あなたなのよね」
関わった人間で数えれば、ヒカリなど何番目かも分からない。だからそんな言い方をしたのだろうと思うが、彼女の言葉選びが妙に気にかかる。
「……カナルブラインで見上げた夜空の美しさを、誰かと共有したかった。だから当時も、野営の時に星空の話をしたのよね。それで、」
空を見上げていた瞳がヒカリを捉えた。灯りはなかったが、それでも月の光が淡く彼女の形を象り、その瞳の輝きまでもがよく見えた。
「今でも思い出すの。あなたもこの空を見て、綺麗だと言ってくれたこと……とても嬉しかったわ」
「……そうか」
なぜ、そんな話を始めたのか、しようと思ったのか、聞こうと思ったヒカリの肩に軽い衝撃が走る。
キャスティがもたれかかったのだ。
「眠いのか?」
「そうね、そうかもしれない。……少しだけ、休んでもいいかしら」
「ああ……」
好意を寄せる相手に頼られている。そうでなくとも彼女は大事な友であり、仲間であるので、肩を貸さない理由はなかった。
仮眠用の毛布を引き寄せ、彼女に掛けてやる。
彼女は気付いているだろうか。
あの時と違って、自分達は今の距離でも穏やかに寝られるということを。
(……他に大切なものがあるから、か)
ヒカリとて一つに選び取るつもりはない。大切なものは大切なまま、その上で彼女との関係を築けたらと思うだけだ。
仲間でなくなっても、顔見知りの友人となっても、それでもいい。助け合える存在で居られるなら構わない。
構わないが、できることなら、彼女がこうして眠る時に傍に居られるなら、嬉しいと思う。
「……よく、寝るといい」
頭を傾けて彼女の髪の柔らかさを頬に受けることもできたが、ヒカリはそのまま不動を貫き、見張りに徹したのだった。



好きな女に肩を貸しても不埒な事をしないク国の王子様最高だと思う。
畳む

小説

#ヒカキャス
#ヒカキャス長い話
前からの続き。「友呼ぶ」シリーズからさらに恋愛色を強めたお話で、漫画で描こうと思ってたせいでヒカ→キャスの流れを端折ってますがそのうちその話も出てきます。

セリフ少なめですがトラベラーズはみんないます。


ヒカ4章後、キャス3章後の時間軸で船を手に入れた実プレイからの妄想で……定期船じゃなくなったので、プライベートな時間も多く取るようになったんじゃないかなあみたいな、そんな雰囲気をこれから出していくと思います。


ヒカリ達八人の旅人が海を行き来することに慣れた頃、使い慣れた定期船に別れを告げるときがやってきた。
トト・ハハ島の造船所にてパルテティオが買い付けた大きな船がこの度完成したのだ。
青い帆に、青い蛸の紋様。定期船をも凌ぐ大きさの船は、八人が乗るにしてはやや豪華だ。
「おお……!」
「見事だな、パルテティオ」
「な! いやあ、見事なもんだよ」
テリーとの契約書のやり取りを終え、帽子を片手で押さえながら歩いてくる彼と感想を言い合う。ヒカリは女性陣達が梯子を登り終えるまで仲間の白い帽子に視線を注ぎ、オーシュットに呼びかけられてようやく頭を動かした。
「パルティ〜! 海渡ろう!」
「おうよ! ヒカリ、俺達も乗るか」
「ああ」
賑やかな仲間達の声が甲板から響いてくる。縄梯子を上り、船の上に立つと、なるほど感嘆の息が漏れるほどの景色が広がっていた。
「すげえ〜……遠くまで見渡せるぜ」
アグネアとオーシュットが軽やかに駆け回り、ソローネは海を見渡し、キャスティは船の内部を物珍しげに見て回っている。オズバルドとテメノスが上船したところで、パルテティオが一通りの部屋を案内すると言って皆を呼び寄せた。
「こっちが男部屋で、こっちが女部屋だ。食堂はこっちだ……キッチンもあるから食料さえ買い込めば問題ねえだろ」
「助かるわ。航海中は壊血病になりやすいから。料理で防げそうね」
キャスティが気に入ったのは治療室とキッチンだ。
ぶつぶつと船に乗せる食材や調味料を確認し始め、その隣でオーシュットが肉を強請り始める。隣で調理器具を物色していたソローネが、包丁に指を添え、いいね、と呟いた。
「良いものが揃ってる。これもあんたが?」
「まあな。貴族様向けに着工されたものらしくてよ。装飾一つ一つに技巧が凝らしてある。安モンの包丁も悪かねえが……長く使うなら、揃えておいたほうがいいだろ?」
「へえ……。やるじゃん」
口笛を吹くソローネの背後、壁掛けの小棚を見ていたオズバルドが部屋の隅の樽を見つけて渋いため息をつく。
「……酒はあるのにコーヒー豆はないのか」
「挽く道具もありませんし、買い出しに行かれては?」
戸口で仲間を見守っていたテメノスが苦笑と共に提案する。
「倉庫もそれなりの広さでしたね。一ヶ月分の食料は保管できるのでは?」
「じゃあいっぱい買い込もう!」
楽しみを隠さずアグネアが両手を握りこぶしにして意気込む。彼女のまばゆい明るさに負けじとパルテティオが白い歯を剥き出しに笑い返した。
「それなら安心してくれ。船を動かすには人が必要だろ? ついでに食材も頼んでおいた。──一時間もしねえうちに、出航だぜ!」


グランド・テリー号は西へ向かって舵を取った。
ソローネが海図を手に入れ、目指すべき離島を決めたためである。
風が吹き、夕暮れ時の空は朱に染まっていた。この分なら夜も晴れるだろうと航海士が天候を読む。
「おーおー、アグネアも大興奮だな」
パルテティオが口笛を拭いた。その音を上書きするようにアグネアの高らかな歌声が船上に、空に響く。
「素敵ね」
ヒカリがパルテティオと同じくアグネアの舞と歌に感心していると、キャスティがやってきた。食事の準備のためにケープを脱いだだけなのに、夕陽に照らされたその身体の細さが目に焼き付く。
儚く倒れるようなひとではないと理解している。それでも、風に揺れる金髪や薄青の服の裾から覗く四肢がどうにも気になった。
「ご飯の時間よ、って呼びに来たのだけど……歌が終わってからにしましょうか」
「そうだな。お疲れさん、キャスティ」
「ふふ。ありがとさん、パルテティオ」
笑顔が交わされる。二人の仲の良さはこれまでにも見守ってきたので今更何かを思うことはなく、しかし、キャスティがこちらを見て瞬きをしたのでヒカリは軽く首を傾げた。彼女が何かに驚いたように見えたのだ。
「どうかした?」
「いや?」
「あら、そう。……じっと見ているから、話したいことがあるのかと思ったの」
歌を邪魔しないようにと思ったのか、キャスティは言いながら肩と肩が触れ合いそうな距離まで近付き、後半のセリフは一層声を潜めて言った。
姿をみとめるだけで鼓動が早くなる我が身だ。それだけでどうしようもなく緊張を覚え、落ち着き払って返せるまでに数秒時間を要した。
歌が終わる。パルテティオが手を鳴らし、船首で同じく耳を澄ませていたらしいオーシュットが指笛を吹いた。
「見惚れていた」
「え?」
「それだけだ」
心地よい風が顔に集まる熱を冷ましていく。
それからすぐキャスティはご飯のために呼びに来たと皆に声をかけた。ヒカリとは一度も視線が合わなかったが、それが普段と違う行動だと分かるからこそ、先程の言葉が彼女に響いたのだと理解でき、晴れやかな気分で仲間達の後に続いた。

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ヒカキャスに落ち着くのがextraED再会後なので「長い話」としてまったりまとめていきます。

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#テメキャス
#テメキャス短い話
何処かに載せた気もするんですが思い出せないので掲載。
なおまだ酔ったパティチャは見てない。



酒はまだ三杯目だ。いや、三杯も注文を許してしまった自分を叱るべきだろう。
「ふう……。やっぱり暑いわね」
「窓際へ移ります?」
「ううん、大丈夫。ボタンを外せばいいだけだし」
近くのテーブルから視線が集まる。ローブでその視線を遮るように身を乗り出し、二つどころか三つ目を開けようとするその手を止めさせた。
「ふふ、あなたの手って冷たいのね。気持ちいいわ」
少し触れただけなのに、そんな事を平気でのたまう。
「はあ……。頭が痛い」
「あら、頭痛? 薬を出しましょうか?」
「構いません。あなたが宿へ戻れば解決しますので」


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